岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

夫の転落死を裁く緊迫の法廷劇

2024年04月09日

落下の解剖学

©2023 L.F.P. – Les Films Pelléas / Les Films de Pierre / France 2 Cinéma / Auvergne‐Rhône‐Alpes Cinéma

【出演】ザンドラ・ヒュラー、スワン・アルロー、ミロ・マシャド・グラネール、アントワーヌ・レナルツ
【監督】ジュスティーヌ・トリエ

音による巧みな演出 不安の増幅と映像への復元

雪を頂く山間にある "ぽっんと一軒家" の山荘。

若い女性の来客がある。それを迎え入れるのは、家の女主人でもあるサンドラで、交わす挨拶からふたりが初対面であり、来訪の目的がベストセラー作家であるサンドラへのインタビュー取材であることがわかる。

その取材の途中、家のどこかから、突然、大音響の音楽が辺りをゆらす。

会話を断ち切るような音の攻撃。サンドラは不快な思いをさせることに詫びを入れるが、いつもの夫の行為だと、特別な異常事態ではないことを強調するが…取材は中止される。

家にはサンドラ夫婦のひとり息子の11歳のダニエルがいて、日課であるらしい愛犬の散歩に出かけようとする。彼に視覚障害があることがわかる。

帰途につく若い女性。いつもの散歩コースを不自由なく歩くダニエルと犬。家に残されたのはサンドラと夫。

この後、散歩から帰ったダニエルが、家の外で倒れている父親を発見=確認する。息子の叫びを聞き駆けつけるサンドラ。夫は既にこときれていた。

父親は山荘の上階から転落した? 当初は事故と思われていたが、警察は事件性を疑い、サンドラは容疑者として逮捕されてしまう。

夫殺害の容疑が掛けられたサンドラは古くからの友人でもある弁護士のヴィンセントに弁護の依頼をする。

『落下の解剖学』は昨年の第76回カンヌ映画祭で最高賞パルムドールに輝き、先日発表された米・アカデミー賞でも脚本賞を受賞するなどの高い評価を受けたドラマであり裁判劇である。

巻頭の不協和音のように家に充満する音楽。裁判で検察が証拠として提示する、夫婦の会話が喧嘩に発展していく夫によって残こされた音声録音。 唯一の同居人として証人となるダニエルの視覚障害ゆえに限定された証言。

物語は音の効果で巧みに牽引され、サスペンス劇として緊張が途切れることはないが、裁判の検査側の主張が感情論に凝り固まることと、最後のダニエルの意見陳述を決断する過程に疑問があり、少し尻すぼみ気味なのが残念だ。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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