岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

8歳でトランスジェンダーが主人公のヒューマンドラマ

2024年04月01日

ミツバチと私

© 2023 GARIZA FILMS INICIA FILMS SIRIMIRI FILMS ESPECIES DE ABEJAS AIE

【出演】ソフィア・オテロ パトリシア・ロペス・アルナイス アネ・ガバライン
【監督・脚本】エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン

身体は男の子だがココロは女の子

NPO法人ReBitが、2023年4月に発表した「学校における性的指向・性自認に係る状況調査」によると、「LGBTQであるとカミングアウトや相談された経験」は、小学生で4.4%(クラスに1人)、中学生で8.8%(クラスに2-3人)との結果であった。

ヨーロッパの方が日本より数字は多くなるとは思うが、いずれにしろ理解されるのは並大抵のことではない。

『ミツバチと私』は、身体は男の子だがココロは女の子という8歳でトランスジェンダーのアイトール=愛称ココ(ソフィア・オテロ)が、徐々に心をほどき、少しづつではあるが自分を受け入れていく様子を描いたクィア映画である。

物語の舞台はスペイン・バスク地方にある養蜂場だ。ココとその家族は、叔母が経営するこの養蜂場へ、夏のバカンスでフランスからやってくる。

息子が女の子のココロを持っているとわかったとき、父は保守的で不寛容な態度をとってしまうが、それは家の中では女の子でいても、外でいじめられ傷ついてほしくないという親心からだとわかる。受け入れるまでに時間がかかるのはしょうがない。

一方で母アネ(パトリシア・ロペス・アルナイス)はオープンで自由な考え方の持ち主で、「そのままでいい」「“男だから”とか“女だから”とかは関係ない」と息子の意志を尊重する。

そんな母に祖母は、「幼い子に自由にさせ過ぎるのはよくない。親が線を引いてあげることも必要」だと諭す。訳知り顔でありがちな意見だ。

そして養蜂場を経営する叔母のルルデス(アネ・ガバライン)は、詮索するわけでもなく決めつけもせず、ミツバチとの接し方を教えながらアイトールとじっくり接してくれる。

性別違和感は物心がついた頃より始まる場合が多いらしく、「性同一性障害」として、本人も周りも理解することが大切だ。

ソフィア・オテロさんの自然な演技がひかる、素晴らしいヒューマンドラマである。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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