岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

ドラムを主役にした音楽ドキュメンタリー

2024年03月27日

COUNT ME IN 魂のリズム

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【出演】シンディ・ブラックマン、ニコ・マクブレイン、イアン・ペイス、チャド・スミス、ロジャー・テイラー
【監督・製作】マーク・ロー

語りきれないモヤモヤを晴らす素晴らしいセッション

復習で観た『セッション』が予習になった。

例えば、音楽に熱中した若者たちを描く青春映画。特にそれがロックだったりすると、奏でる音は騒音となり、演奏する場所を確保することに苦労する、といった様子が現れたりする。

エレキギターはやかましいし、ドラムのセットは置く場所にも困るし、練習場所の確保のための苦労の要因は、音だけにとどまらない。

音楽には疎い部外者の戯言と聞き流していただきたいのだが、"ドラム=ドラマー" って、影が薄いなぁ〜と、思っていた。バンドの立ち位置でも、ボーカル、ギターは前列で、ドラムといえば、大概は後方にいる(例外あり)。

『セッション』(2014年/日本公開2015年)は、名門音楽学校を舞台に、伝説の鬼コーチでバンマスでもある教師と、ドラマーの生徒の師弟の格闘を描いたドラマだが、ジャズのドラマーという設定が珍しい。完璧を求める教師の容赦ない罵声と、死闘とまでいえる血みどろの演奏と狂気性が圧倒的な熱量で描かれている。

『ラ・ラ・ランド』(2016年/日本公開2017年)で、史上最年少のアカデミー監督賞の受賞者となるデイミアン・チャゼルの長編第2作にあたる出世作でもあった。

この映画が、「ドラマーは影が薄い」という認識を見事に覆した。ドラム=ドラマーは主役たり得る。

『COUNT ME IN 魂のリズム』は、錚々たるロックバンドのドラマーにスポットを当て、ドラムの歴史について、あるいは、自身の音楽キャリアを構築してきた過程を語り、音楽におけるドラムそのものの位置や価値について分析したドキュメンタリーである。

チャド・スミス、ロジャー・テイラー、スチュワート・コープランドといった、音楽通でなくても名前くらいは知っているドラマーから、現在進行形の新進ドラマーまで、音楽とドラムの関係性が次第に詳らかになるが、やっぱり説得力で勝るのは、その演奏に尽きる。

最も原始的な衝動に近い楽器の進化が見える。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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