岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

アクティブでオシャレ、実に若々しい角野栄子さん

2024年03月22日

カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~

ⒸKADOKAWA

【監督】宮川麻里奈

感動的なルイジンニョさんとの再会

角野栄子さんは1935年(昭和10年)1月1日生まれの89歳。2014年に旭日小綬章、2018年に日本人3人目の国際アンデルセン賞を受賞した、執筆意欲旺盛なオシャレでパワフルな児童文学作家である。つい先日特養に入居した昭和9年9月生まれの私の母と同学年だとはとても思えない、羨ましい歳のとり方だ。

戦前の生まれで疎開も経験した角野さんは、現在のウクライナやパレスチナでの戦争に強く反対し、2014年には「秘密保護法廃止と集団的自衛権容認の閣議決定の撤回」を求める緊急アピールの賛同者に名を連ねている、モノ言う児童書関係者でもある。

常に笑顔を絶やさない角野さんの鎌倉の自宅は、いちご色の壁や本棚に囲まれていて地味とは無縁な世界だ。服装も、私の母に代表される一般的な後期高齢者の女性が着るようなモノトーンでなくピンクを基調としたカラフルな洋装で、その個性的な眼鏡とも相まって実に若々しい。ファッションは、どう見られるかを意識してコーディネートするわけなので、その点ひとつとってみても現役バリバリである。

海外渡航が制限されていた1950年代に24歳でブラジルに渡り2年間暮らしていたというアクティブさは、角野さんの人生のベースになっているだろうし、オシャレでカラフルな着こなしも、実は全部同じ形のワンピースをベースにしているというシンプルさで、人生を心豊かに楽しく過ごしている様子はとても素敵だ。

映画の中で最も感動的なのは、角野さんのデビュー作「ルイジンニョ少年 ブラジルをたずねて」(1970年発行/ポプラ社)の主人公ルイジンニョさんとの60年ぶりの再会だ。

2023年11月江戸川区にオープンした角野さんの「魔法の文学館」を目の当たりにしての「僕もこの世界観の一部だなんて信じられない」という感動は、観ているこちらも嬉しくなってくる。

角野さんにはもっともっと長生きしてもらいたい。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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