岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品風よ あらしよ 劇場版 B! 女性解放を先取りした思想家・伊藤野枝の生涯 2024年03月12日 風よ あらしよ 劇場版 ©風よ あらしよ 2024 ©村山由佳/集英社 【出演】吉高由里子、永山瑛太、松下奈緒、美波、玉置玲央、山田真歩、朝加真由美、山下容莉枝、渡辺哲、栗田桃子、高畑こと美、金井勇太、芹澤興人、前原滉、池津祥子、音尾琢真、石橋蓮司、稲垣吾郎 時代を読み取ること 人を読み取ること 幻想「元始、女性は太陽であった」を実践に変えようとした人がいた。 伊藤野枝は、1895(明治28)年、福岡県糸島郡今宿村(現・福岡市西区今宿)に、7人兄妹の3子、長女として生まれた。かつての伊藤家は、「萬屋」の屋号を持つ海産物問屋だったが、野枝の誕生した頃には既に没落していた。 家の財政を支えるため、高等小学校を卒業すると、地元の郵便局に勤めるが、既にその頃から文学(作文)の才があり、詩や短歌を雑誌に投稿している。 東京に嫁いでいた母ムネの妹の影響で、東京への強い憧れを抱くようになり、叔父を口説くかたちで上京を実現させた。その翌年には上野の高等女学校(現・上野学園高等学校)の4年編入試験に合格した。 1912(明治45=大正元)年、学校卒業後に福岡に帰郷するが、そこで既に両親によって決められた嫁ぎ先があることを聞かされ驚く。 しかし、その政略には逆らえず、嫁入先の末松家に入るが、8日目に出奔し最上京の断行する。 東京に戻り、女学校の恩師(英語)で、強く憧れていた辻潤を頼り、そのまま同棲生活に入る。 『風よ あらしよ 劇場版』は、女性解放運動家の伊藤野枝の波乱に富んだ生涯を描いている。 作品はNHKのBSドラマとして制作放映されたものを劇場版として改めたもので、原作は直木賞作家・村山由佳の同名小説(吉川英治文学賞)である。 辻潤と結婚した野枝は、まもなく一子をもうけるが、すぐに無政府主義者の大杉榮に出会い、辻の家を出て、大杉と生活を共にするようになる。しかし、大杉は既婚者だった。 時代背景は、関東大震災前後の激動期にあたり、野枝の行動は、わがまま、奔放と批判されることが多いが、女性の自我の精神を見越した先見性は評価されるべきものだろう。 政府からの監視対象となる、きな臭い雰囲気や自由な生き様が、幾分ダイジェスト感はあるもののよく描けている。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (8)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年09月06日 / 幸せのイタリアーノ 嘘からはじまるロマンチックコメディ 2024年09月06日 / 愛に乱暴 真面目に生きてきた女性が壊れる 2024年09月06日 / 愛に乱暴 人間の我慢の限界を描き、本質に迫った映画 more 2020年08月19日 / 大心劇場(高知県) 高知の山奥にポツンと佇む懐かしの映画館 2022年01月26日 / シネマ・クレール(岡山県) 目の前を路面電車が通過する城下町の映画館 2020年03月18日 / 布施ラインシネマ(大阪府) 大阪の下町で地元の人たちに愛されてきた映画館 more
時代を読み取ること 人を読み取ること
幻想「元始、女性は太陽であった」を実践に変えようとした人がいた。
伊藤野枝は、1895(明治28)年、福岡県糸島郡今宿村(現・福岡市西区今宿)に、7人兄妹の3子、長女として生まれた。かつての伊藤家は、「萬屋」の屋号を持つ海産物問屋だったが、野枝の誕生した頃には既に没落していた。
家の財政を支えるため、高等小学校を卒業すると、地元の郵便局に勤めるが、既にその頃から文学(作文)の才があり、詩や短歌を雑誌に投稿している。
東京に嫁いでいた母ムネの妹の影響で、東京への強い憧れを抱くようになり、叔父を口説くかたちで上京を実現させた。その翌年には上野の高等女学校(現・上野学園高等学校)の4年編入試験に合格した。
1912(明治45=大正元)年、学校卒業後に福岡に帰郷するが、そこで既に両親によって決められた嫁ぎ先があることを聞かされ驚く。
しかし、その政略には逆らえず、嫁入先の末松家に入るが、8日目に出奔し最上京の断行する。
東京に戻り、女学校の恩師(英語)で、強く憧れていた辻潤を頼り、そのまま同棲生活に入る。
『風よ あらしよ 劇場版』は、女性解放運動家の伊藤野枝の波乱に富んだ生涯を描いている。
作品はNHKのBSドラマとして制作放映されたものを劇場版として改めたもので、原作は直木賞作家・村山由佳の同名小説(吉川英治文学賞)である。
辻潤と結婚した野枝は、まもなく一子をもうけるが、すぐに無政府主義者の大杉榮に出会い、辻の家を出て、大杉と生活を共にするようになる。しかし、大杉は既婚者だった。
時代背景は、関東大震災前後の激動期にあたり、野枝の行動は、わがまま、奔放と批判されることが多いが、女性の自我の精神を見越した先見性は評価されるべきものだろう。
政府からの監視対象となる、きな臭い雰囲気や自由な生き様が、幾分ダイジェスト感はあるもののよく描けている。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。