岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

帰郷と家族の再会で甦るか女優魂

2024年02月27日

⼥優は泣かない

©2023「⼥優は泣かない」製作委員会

【出演】蓮佛美沙⼦、伊藤万理華、上川周作、三倉茉奈、吉⽥仁⼈、⻘⽊ラブ、幸⽥尚⼦、福⼭翔⼤、緋⽥康⼈、浜野謙太、宮崎美⼦、升毅
【監督・脚本】有働佳史

尖ったプライドを包み込む人情のぬくもり

梨枝は久しぶりに故郷の地に降り立つ。

高校の時、女優になるという夢の実現のため、東京へ行くことを決心した梨枝は、「高校も卒業できない半端ものに何ができる」という父親の反対に耳を傾けることなく、姉の静止も振り切るようにして実家を飛び出した。

それから10年。「2度と実家の敷居を跨ぐな」という警告が今もよみがえる。

梨枝はそれなりのキャリアを積み上げ、それなりの知名度も獲得したが、壁にぶち当たり…そこで生まれたエアポケットのような心の隙に足元を掬われ、スキャンダルに巻き込まれてしまう。

女優はつらいよ

そこで事務所が用意した仕事は、密着型のドキュメンタリーだった。やむなく、故郷に帰って来た梨枝。

現場に現れたのは新米ディレクターの瀬野咲ひとり。ドラマ志望でドキュメンタリーは素人でありながら、台本を用意し、車の運転から、宿の手配までひとりでこなそうとするが、そこには予算なし、プランなしの裏があった。

故郷を離れて、敢えて言葉を変えるなら、故郷を捨てて、夢を掴み取るため東京へ行ったものの、都会の世間の荒波にもまれ、故郷に帰って来る…こういう設定は何となく懐かしい。

現在では東京は、かつての "花の都" 高嶺の花ではなく、ずーっと身近にはなっているのだが、これは世代ギャップなのかも?

梨枝には、もう一つの重荷がある。それは父が病に倒れ、姉からの再三の連絡も無視してしまったことだった。

設定された場所は、熊本県荒尾市で、これは本作が初映画作品となる有働佳史監督の故郷でもある。宿にラブホテル(これもほぼ死語)、仕込みで用意しなければならない駄菓子屋、やっぱりどこか懐かしい。

郷愁を誘うだけでなく、訳ありの女優が再び立ち上がる再生の物語としても、何だか元気づけられる。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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