岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

恋愛観結婚観に向き合う自分探し映画

2024年02月06日

きっと、それは愛じゃない

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【出演】リリー・ジェームズ、シャザド・ラティフ、シャバナ・アズミ、エマ・トンプソン、サジャル・アリー
【監督】シェカール・カプール

幼なじみの差異から見えて来る新たな本質

昨年公開された『ロスト・キング 500年越しの運命』で健在ぶりを示したしたスティーブン・フリアーズ監督作品が、日本ではじめて紹介されたのは、87年春に公開されたの『マイ・ビューティフル・ランドレッド』(85年製作)だった。

ロンドンの下町を舞台に、父親から経営を任されて、コインランドリーを切り盛りしているパキスタン系の青年と、幼なじみのイギリス人青年の恋を描いたドラマで、アカデミー主演男優賞を3度受賞したダニエル・デイ=ルイスの実質上の最初の映画主演作でもある。

当時は、まだ同性愛の描写に、今ほど免疫がなかったせいもあり、ドキリとした記憶がある。ごく自然に愛し合う姿が描かれていた事、同時に、人種の差異を一切感じさせないことへの驚きだった。

インド=パキスタンは永くイギリスの統治下にあり、それぞれの独立にも深く関わり、国家間では親密なパートナー関係を持続している。

現在、中国を抜いて世界一の人口となったインドは、最大の移民送り出し国でもある。イギリス在住のインド系人口は、176万人あまりで、最大といわれるアメリカの446万人に比べれば多いとは言えないが、歴史的には永く深く社会的に浸透していると言える。

"クイーン" のボーカル故・フレディ・マーキュリーは、ペルシャ系インド人、現・首相のリシ・スナクは、両親がインド系の移民である。

ドキュメンタリー映画の監督ゾーイは、マッチングアプリやSNSの出会い系でのケースのみならず、恋愛に関しては連敗を続けている。

ある日、幼なじみで医師のカズに久しぶりに再会し、見合い結婚をするという話を聞き驚愕する。見合い…それも親の選んだ相手との結婚が今の時代に存在する事に。

ゾーイはその疑問と向き合うため、カズの結婚までの軌跡に密着、映画の製作に乗り出す。

恋愛と結婚と常識、やっぱりあった異文化接触で生じる恋愛模様のあやと、図らずも自分に気付くという趣向が面白い好編である。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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