岐阜新聞 映画部

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「ダメに生きる」2人を描く、伝説の低体温系青春映画

2024年01月25日

ゴーストワールド

© 2001 Orion Pictures Distribution Corporation. All Rights Reserved.

【出演】ソーラ・バーチ、スカーレット・ヨハンソン、スティーヴ・ブシェミ、ブラッド・レンフロ ほか
【監督・脚本】テリー・ツワイゴフ

20年以上たっても色あせることのない傑作

『ゴーストワールド』(2001)は、日本ではアスミック・エースの配給により恵比寿ガーデンシネマで2001年7月に公開され、興収4600万円をあげた。2001年のベストテンでは、読者選出はベスト30位にも入ってないが、目利きの評論家からは絶賛され第9位にランキングされている。翌2002年3月の第74回アカデミー賞では脚色賞にノミネートされた。

私は当時封切りでは観ておらず、キネ旬ベストテンに選出されてから慌ててレンタルビデオで観ただけだったので、劇場で観るのは今回が初めてだ。「カルト映画」とされていることは初めて知ったが、封切り時に観て評価した人数よりも、後から知って好きになった人が多いのはまさに「カルト」と呼ぶにふさわしい映画だ。

今でこそ、「疎外感を抱えて生きる少女2人の日常をポップかつユーモラスに描いた青春ドラマ」で「ゼロ年代カミング・オブ・エイジの伝説的傑作」と称されているが、私は当時リアルタイムに観ていないので言う権利はない。「ダメに生きる」というキャッチコピーや「低体温系青春映画」と言われていたことを体感として伝えられないのは悔しくてしょうがない。

アメリカンな青春映画と言えば、キラキラ輝いて若さを謳歌するカッコいい映画がすぐに思い浮かぶが、そんなのは一部の人間。高校を卒業したばかりのイーニド(ソーラ・バーチ)とレベッカ(スカーレット・ヨハンソン)の2人は、世の中の風潮をななめに見る冷笑主義者で、進学も就職もせず街をブラブラしている。

このダメさ加減がバカによく、等身大の瑞々しい演技が素晴らしい。自分の居場所を探すモラトリアム期間に大人をからかうつもりで出会ったのが、中年のヴィンテージもののコレクションマニア・シーモア(スティーブ・ブシェミ)で、世の中に馴染めないもの同士のやりとりには、胸が締め付けられる。

20年以上たっても色あせることのない傑作だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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