注=R15＋ 劇中に "無修正の春画" が映ります

春画とは？

またの呼び名は、枕絵、秘画、笑い絵、ワ印。

それが冊子=本に形を変えると、笑本、艶本、好色本となる。

歴史的には江戸時代に流行した性風俗を描いた浮世絵のことを指すことが多いが、世界に目を向けると、紀元前の古代文明の時代にも、男女の性愛を描いた絵画や彫刻が存在した。

日本での春画のはじまりは、中国から伝来した医学書にあった解説画と思われ、平安時代初期には性的な画題の絵画が見られるようになったが、これは貴族社会での話。

庶民に広がりを見せたのは室町時代末から江戸時代にかけてのことで、絵師の手による扇絵などは、輸出品として大陸に渡っている。

また、春画の機能として、災難、魔除のお守りとして使われた。武士は鎧の下に男女の性交の図を魔除のとして忍ばせたと言うが…これは方便？

浮世絵の普及隆盛により、春画は一般庶民に広まることになった。

春画の研究者である芳賀一郎(内野聖陽)は、妻に先立たれたことで、狂信ぶりに拍車がかかり、今や世捨人の如くに研究に没頭していた。

そんな芳賀のもとに脚繁く通う春野弓子(北香那)は、春画を学ぶことが口実になるほどに、芳賀への恋心を募らせていた。

『春画先生』は、春画に魅了された師弟が繰り広げる、ちょっと大人なラブコメディである。

劇中、春画を鑑賞する様を描いたシーンが度々登場する。

貴重な春画を眼下に、口もとにハンカチをあてる。これは飛沫を防ぐためのマナーなのだが、感嘆嗚咽を隠す行為に見えはしまいか？

弓子が春画に没入する時、その肩越しに芳賀が覆い被さるように覗き込む "形" は、絵画の構図。自ずとエロスを醸し出す。

乱入者によるひと騒動も上手く抑制が効いていて、大人のコメディとして、品よく楽しめる一品である。