岐阜新聞 映画部

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本物の潜水艦を使った、昭和っぽいエンタメ映画

2023年12月14日

沈黙の艦隊

©かわぐちかいじ/講談社 ©2023 Amazon Content Services LLC OR ITS AFFILIATES. All Rights Reserved.

【出演】大沢たかお、玉木宏、上戸彩、ユースケ・サンタマリア、中村倫也、中村蒼、水川あさみ、酒向芳、笹野高史、橋爪功、夏川結衣、江口洋介 ほか
【監督】吉野耕平

独立戦闘国家「やまと」が武力でもの申す

かわぐちかいじさん原作の映画化では『空母いぶき』(2019)がある。相対する敵が、原作では実在する某国だったのが映画では「東亜連邦」という架空の国に変えたことで声の大きいネット民からバッシングされたり、戦闘シーンもチープで、お世辞にも成功作とは言えないがそれなりにヒットした。

本作は敵の名前も「アメリカ」とはっきりした上、戦闘シーンもなかなかに迫力があり大作感が出ている。監督は、デビュー作以来マイベストテンに毎回選出している(『水曜日が消えた』(2020/マイ10位)、『ハケンアニメ!』(2022/マイ3位))の吉野耕平さん。しかし「さあ褒めるぞ!」とはいかないのだ。

まずは多くの人が指摘しているが、話がいきなり強制終了してしまっている。いまさら言うまでもないが物語には起承転結があって結論があるからこそカタルシスを覚えたり感動したりするのだが、これは事故レベルの終わり方だ。何かトラブルでもあったのか?と思えてしまう。

映画全体に覆っている「平和を守るためには核武装」という見え透いた単純化も嫌だ。日米で秘密裏に建造した原子力潜水艦を艦長の海江田(大沢たかお)たちが乗っ取り、世界に向けて核兵器廃絶や平和をいうのに、武力で脅すなんて私にはついていけない。核兵器抑止論そのものじゃん。

そしてこのテロリストたちが妄想した独立戦闘国家の名前が「やまと」だなんて、昭和アナクロニズムの軍事オタクだ。

ホームページを見ると「日本のエンタメ界が世界へ大勝負をかける」作品との謳い文句だが、現代を描く韓国エンタメ映画に比べると、何か勘違いしているとしか思えない。

しかし潜水艦映画としてのみ切り取って見れば、本物の潜水艦を使っているだけにリアリティがあるし、吉野監督の演出も冴えていて、動きのない潜水艦の内部を描くのにメリハリがきいている。

映画の観方はいろいろ、自分で観て確認しよう。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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