岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

地名を題名に冠したご当地ミステリー

2023年10月18日

女子大小路の名探偵

©2023映画『女子大小路の名探偵』製作委員会

【出演】剛力彩芽、醍醐虎汰朗、北原里英、今野浩喜、堀夏喜(FANTASTICS)、小沢一敬(スピードワゴン)、水野勝、寺坂頼我、柳ゆり菜、ゆきぽよ/遼河はるひ、田中要次、戸田恵子 
【監督】松岡達矢

郷愁や観光への誘いにはならない名古屋⇔岐阜

ご当地映画とは?

例えば大林宣彦監督の尾道3部作。『転校生』(82)、『時をかける少女』(83)、『さびしんぼう』(85)が思い浮かぶ。続く、『ふたり』(91)、『あした』(95)、『あの、夏の日ーとんでろじいさん』(99)の新尾道3部作があり、その他にも、大林監督は故郷尾道を舞台=ロケ地に選んでいる。

ノスタルジー溢れる風景を取り入れる事は、作り手の郷愁であると同時に、多くの観客=受取る側の心にも触れる要素を備えている。

ところが21世紀に入った頃から、ご当地映画には、行政や企業(地元の)が主体的に動いた企画が主流を占めるようになった。そうした場合、地方には映画製作に関するノウハウがないことがネックとなる。一部には自主映画のような試みからスタートする場合もあるが、多くは映画会社絡みの民放地方局や広告代理店がタッグを組むことが多くなった。その結果、ドラマとしての内容はそっちのけの、ロケ地を観光スポットにする安易な利用が目立つようになってしまった。そこには、同時に "聖地巡礼" という、映画の舞台となった、あるいはモデルとした風景を求めた、観光需要があったことが影響しているが、これは映画が先行している現象であって、それを目的とした提示はあざとい作為でしかなく、聖地巡礼現象は生まれる術もない。

『女子大小路の名探偵』は地名入りのご当地映画となる。

女子大小路は名古屋市中区の有名繁華街。冒頭、事件のはじまりである、女子中学生が心肺停止状態で発見されるのは同じ中区矢場公園。

主人公の大夏(醍醐虎汰朗)の窮地を救うのが、岐阜・柳ヶ瀬でホステスとして働く姉の美桜(剛力彩芽)と、名古屋、岐阜の地元民には馴染みの場所が随所に現れる。

脇を固める役者にも地元ゆかりの俳優、タレントが顔を揃えているので、ご当地色の増強にも一役買っているのだが、探偵と銘打っている割には、残念ながらお話は薄っぺらいと指摘しなければならない。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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