岐阜新聞 映画部

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エリザベートの生き様に迫った、豪華絢爛な歴史劇

2023年10月02日

エリザベート 1878

© 2022 FILM AG – SAMSA FILM – KOMPLIZEN FILM – KAZAK PRODUCTIONS – ORF FILM/FERNSEH-ABKOMMEN – ZDF/ARTE – ARTE FRANCE CINEMA

【出演】ヴィッキー・クリープス、フロリアン・タイヒトマイスター、カタリーナ・ローレンツ、マヌエル・ルバイ、フィネガン・オールドフィールド、コリン・モーガン
【監督・脚本】マリー・クロイツァー

現在にも通じるフェミニズム映画

オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフの皇妃エリザベート(1837~1898)は、その類まれなる美しさと、反抗的で悲劇的な波乱万丈の人生から、今もなお人々に愛され続けている。

彼女の生涯は、舞台化や映画化もされ、日本では宝塚歌劇団の代表的なミュージカルの演目であるし、ルキノ・ヴィスコンティ監督の『ルードウィヒ/神々の黄昏』(1972)では、主役ルードウィヒ2世(ヘルムート・バーガー)の従兄妹エリザベート(ロミー・シュナイダー)として強い印象を残している。

本作は、エリザベート(ヴィッキー・クリープス演)を描くにあたって、1877年12月から1878年10月までの約1年間に絞り、伝統と格式を重んじる宮廷での生活に窮屈さを感じつつ、自由を求めて旅をする彼女の心の軌跡に焦点をあてた、豪華絢爛な歴史劇となっている。

原題は『Corsage(コサージュ)』で、いわゆるコルセットのこと。当時のヨーロッパの上流階級の女性たちは、曲線を描いたウエストを意図的に作り出すため、コルセットを使って強く身体を締め付け、美しいとされる引き締まった体型を維持していた。「オシャレは我慢」だったのだ。

40歳の誕生日を迎えたエリザベートは、「若い娘のように美しい」「永久に美しい」とおべっかを交えて褒めたたえる周囲を意識しながら、狂気的に美に気を配る。それは、コルセットを締めるお付きの女官に「もっときつく」「もっと締めて」と厳しく命じることでよくわかる。

一方で自由奔放なエリザベートは、恋愛についても実に奔放だ。夫を愛しているものの、それと同じくらいイケてる貴族に恋をする。

舞台はウィーンの宮廷を始め、夏の離宮、イギリス、バイエルン、イタリアと変わっていく。旅先で羽を伸ばすエリザベートであるが、皇妃であることに変わりはない。

エリザベートの生き様に迫った、現在にも通じるフェミニズム映画でもある。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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