ジョージ&エリックの熱い友情

ミュージシャン同士の交友関係は知るよしもないが、ジョージ・ハリスン(1943-2001)とエリック・クラプトン(1945- )が親友同士だったことは、よく知られているらしい。20歳前後で出会って以来、ジョージが58歳で亡くなるまで、2人の関係性は変わることはなかった。1991年12月には、ジョージ&エリックの日本限定のジョイント・ツアーも開催され、名古屋でも公演している。

ただエリックは、「ジョージは僕よりふたつ歳上で、だから少し威張っている(笑)」、「本当の兄貴のように思えるんだ」との発言からは、むしろ兄弟に近いのかもしれない。

本作は、ジョージ・ハリスンの没後1年目の命日2002年11月29日に、盟友エリック・クラプトンの音楽監督と主演で開催された、追悼コンサートのドキュメンタリーである。

賑やかで楽しく盛大なコンサートは、「ジョージ、いままでありがとう。みんなジョージが大好きだったよ」との一人一人のメッセージが観客に伝わってくる。出演者の笑いや笑顔のほうが、むしろ深い鎮魂の思いを感じるのだ。

当時24歳のジョージの息子ダニー・ハリスン(1978- )に注がれる目の優しいこと、ダニーの中にお父さんの面影を感じることができるのだ。父から子へと音楽が継承される姿は、私の大好きな尾崎豊と尾崎裕哉のようである。

もちろん、ポール・マッカートニー(1942- )やリンゴ・スター(1940- )の貫禄と存在感は圧倒的だ。悪目立ちなど一切せず、ジョージを偲ぶことに徹している。 ジョージが敬愛したインド音楽のシタール演奏も素晴らしい。

そしてモンティ・パイソンが登場するにあたっては、なんとトム・ハンクスも飛び入り参加しており、ちょっとお下劣な尻出し芸まで披露して、場内を大爆笑の渦にした。

そんな、ごった煮の追悼コンサートのラストを締めくくったのは、ジョー・ブラウン(1941- )。「夢で逢いましょう」をウクレレ1本で静かに演奏する。本当に素晴らしい追悼コンサートである。