岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

アートの見方を変える異色ドキュメンタリー

2023年08月10日

目の見えない白鳥さん、アートを見にいく

©️ALPS PICTURES INC.

【出演】白鳥建二、佐藤麻衣子、森山純子 ほか
【監督】三好大輔、川内有緒

白杖を手に突き進む白鳥さんの逞しき日常

この作品はドキュメンタリーだが、原案となる書籍が存在する。

生まれながらにして片方の目の視力はなかった白鳥健二さんは、もう片方の目の視力も徐々に失われていった。しかし、20歳を少し過ぎた頃までは光を感じることができたという。その頃のことだろうか? 初めて恋人とのデートで美術館を訪れる機会を得る。その時、白鳥さんは「全盲でもアートを見ることができるかも知れない」と閃いたと言う。

それからは積極的に行動する。自ら美術館に電話で問い合わせをして、「全盲の私を案内してくれる人をつけてもらえないか」と要望する。

対応に不慣れだった美術館は、即答はできなかったものの、この先進的な "バリアフリーの提案" を承諾する。

そして、白鳥さんの美術館通いがはじまった。

原案となっている本は「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」と、映画の題名とは少し違う表題のノンフィクションで、その作者である川内有緒が映画版の監督のひとりでもある。

共同監督の三好大輔(岐阜県関市出身)とは、大学の同窓であり、学生時代は映像を目指す同志でもあったというが、卒業後は道を別つことになった。

本作で実現したコラボでは、空白を感じさせない見事な分業(企画、原案、構成を川内/撮影、編集を三好が担当)で、ノンフィクションの映像化を共同監督でかたちにしている。

題名にある "目に見えない→見にいく" という矛盾点は直ぐに解明される。

アート作品の前に立つ白鳥さんと鑑賞の友の2人の女性。ひとりが作品の印象を語りはじめる。それは感じたままのあくまでも "個人の意見" に過ぎない。その言葉のイメージがアニメで具象化されるが、これも印象のあいまいな表現。女性の意見は変転し、そこにもうひとりの女性の意見が重なる。イメージが混雑する中、白鳥さんは2人の言葉に耳を傾ける。見えない白鳥さんの脳内にはイメージが浮かび上がる。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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