岐阜新聞 映画部

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魔宮ゴールデン街を舞台にした探偵物語

2023年07月31日

探偵マリコの生涯で一番悲惨な日

©2023「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」製作委員会

【出演】伊藤沙莉/北村有起哉、宇野祥平、久保史緒里(乃木坂46)、松浦祐也/高野洸、中原果南、島田桃依、伊島空、黒石高大/真宮葉月、阿部顕嵐、鈴木聖奈、石田佳央/竹野内豊
【監督】内田英二、片山慎三

小ネタだけで映画を成立させることは難しい

舞台となるのは "新宿ゴールデン街" 。

『エゴイスト』の紹介の中でふれた新宿3丁目から、靖国通りを挟んだ北側に位置する。西に新宿区役所、東の花園神社に挟まれた一画で、住所だと歌舞伎町1丁目となる。

およそ2000坪の区画に、低層の木造長屋風の建物が連なり、200軒以上の飲食店が密集している。

1970年代頃から "文壇バー" と呼ばれる個性的な店が出現し、作家、編集者、映画監督、俳優といった文化人が常連客となった。そうしたことから、東京におけるサブカルチャーやアングラ、アートの発信地と目されるようになった。

80年代の後半のバブル時代に、激しい地上げに晒され、一時はゴーストタウン化し、存亡の危機にあったが、2000年代に入ると、街の組合組織の活動によるインフラ整備などで、新規店舗の出店が生まれ、活気を取り戻すことになった。映画やテレビドラマのロケ地としても度々登場する、妖しい雰囲気に包まれた場所という評判は、海外からの観光客にも注目されている。

そのゴールデン街にある小さなバー「カールモール」でバーテンとして店を切り盛りしているマリコ(伊藤沙莉)。彼女には "私立探偵" というもうひとつの顔があった。

探偵とくれば何らかの事件を追う、所謂、ハードボイルドと呼ばれる男くさい展開を想像するけれど、本作の探偵は女性でクールなイージーとは縁遠い、ブラックなユーモアに包まれた話で構成されている。

監督は内田英治と片山慎三の共同で、6つのエピソードをそれぞれが交互に担当演出した。

きっかけは、マリコの前にFBIを名乗る依頼者が現れたことによってはじまる。その依頼内容は「歌舞伎町に紛れ込んだ宇宙人を探して欲しい」という "飛んだ" 話だった。

達者な顔触れで脇を固めてはいるが、エピソードの繋がりは中途半端で、話は空振り気味という印象に収束してしまうのは何とも残念。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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