岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品帰れない山 B! 美しき山のもとで描かれる友情の物語 2023年06月26日 帰れない山 © 2022 WILDSIDE S.R.L. – RUFUS BV – MENUETTO BV – PYRAMIDE PRODUCTIONS SAS – VISION DISTRIBUTION S.P.A. 【出演】ルカ・マリネッリ、アレッサンドロ・ボルギ、フィリッポ・ティーミ、エレナ・リエッティ ほか 【監督・脚本】フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン&シャルロッテ・ファンデルメールシュ 過去と現在を繋ぎ空白を埋めるのは言葉ではない そこには城があるからか? 岐阜に来る時、電車の車窓からは、その目印となる岐阜城のある金華山の姿が目に入る。 市内にいて、山の存在を感じれば、思わず見上げてしまうのは、そこに岐阜城があるからだが、まず目に映るのは金華山…その標高は329メートル。 『帰れない山』の舞台となるモンテ・ローザは、北イタリアのスイスとの国境付近にある山脈地帯で、そこには4000メートル級の山が聳え連なっている。 ピエトロは都会育ち、山を愛する両親に連れられ、休暇を過ごすためにモンテ・ローザの山麓にある小さな村にやって来る。そんな少年はすぐにはそこに馴染めないでいたが、同い年のブルーノと出会いによって変化が訪れる。 ブルーノは牛飼いの家で生まれ、山に抱かれた村で育った野生児だった。彼の行動が示すひとつひとつが、ピエトロには未知のものだった。大自然の中を駆け回り、時間を共有することで、ふたりは友情に結ばれ、山の自然の空気に触れることの悦びを感じるようになる。 やがて、青年期に差しかかったピエトロは、少しづつ鬱積していた漠然とした不満から、父親に対して反抗心を抱くようになり、父から、家族から、そして山からも距離を置いてしまう。 時は過ぎ、家族とは隔絶したまま、世界中を旅して暮らしていたピエトロのもとに、父の悲報が届く。 久しぶりに山に帰るピエトロ。それを迎えたのはそこに居続けた変わらないブルーノだった。 一度は固い友情に結ばれたふたりは、対照的な世界でその後を生きてきたが、再会により、甦る記憶と共に、途切れていた心の絆も少しづつ修復されていく。そして、空白だった父の思いを知ることになる。 ふたりが選択した生き方が、圧倒的な山の神々しい美しさのもと浮かび上がる。 そこにある山は標高ではない。個々が抱く存在の記憶。それがノスタルジーへと誘う。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (9)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年05月17日 / 一月の声に歓びを刻め 三島有紀子監督が、自分自身と向き合った自伝的映画 2024年05月17日 / 一月の声に歓びを刻め 自らの体験を反映させた三島有紀子監督の渾身作 2024年05月17日 / マリア 怒りの娘 11歳の少女の眼に映る現在のニカラグア more 2022年07月13日 / 吉祥寺オデヲン(東京都) いつも住みたい街に選ばれる吉祥寺駅前にある街のシンボル 2024年02月14日 / 京成ローザ10(千葉県) 駅にある二つの映画館はたくさんの夢を運んできた。 2020年03月18日 / 布施ラインシネマ(大阪府) 大阪の下町で地元の人たちに愛されてきた映画館 more
過去と現在を繋ぎ空白を埋めるのは言葉ではない
そこには城があるからか?
岐阜に来る時、電車の車窓からは、その目印となる岐阜城のある金華山の姿が目に入る。
市内にいて、山の存在を感じれば、思わず見上げてしまうのは、そこに岐阜城があるからだが、まず目に映るのは金華山…その標高は329メートル。
『帰れない山』の舞台となるモンテ・ローザは、北イタリアのスイスとの国境付近にある山脈地帯で、そこには4000メートル級の山が聳え連なっている。
ピエトロは都会育ち、山を愛する両親に連れられ、休暇を過ごすためにモンテ・ローザの山麓にある小さな村にやって来る。そんな少年はすぐにはそこに馴染めないでいたが、同い年のブルーノと出会いによって変化が訪れる。
ブルーノは牛飼いの家で生まれ、山に抱かれた村で育った野生児だった。彼の行動が示すひとつひとつが、ピエトロには未知のものだった。大自然の中を駆け回り、時間を共有することで、ふたりは友情に結ばれ、山の自然の空気に触れることの悦びを感じるようになる。
やがて、青年期に差しかかったピエトロは、少しづつ鬱積していた漠然とした不満から、父親に対して反抗心を抱くようになり、父から、家族から、そして山からも距離を置いてしまう。
時は過ぎ、家族とは隔絶したまま、世界中を旅して暮らしていたピエトロのもとに、父の悲報が届く。
久しぶりに山に帰るピエトロ。それを迎えたのはそこに居続けた変わらないブルーノだった。
一度は固い友情に結ばれたふたりは、対照的な世界でその後を生きてきたが、再会により、甦る記憶と共に、途切れていた心の絆も少しづつ修復されていく。そして、空白だった父の思いを知ることになる。
ふたりが選択した生き方が、圧倒的な山の神々しい美しさのもと浮かび上がる。
そこにある山は標高ではない。個々が抱く存在の記憶。それがノスタルジーへと誘う。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。