岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

LGBTQを扱った映画の中でも屈指の作品

2023年06月22日

エゴイスト

© 2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会

【出演】鈴木亮平、宮沢氷魚、中村優子、和田庵、ドリアン・ロロブリジーダ/柄本明/阿川佐和子
【監督・脚本】松永大司

トークショーで映画の良さをさらに知る

6月17日にCINEXで開催された『エゴイスト』上映と松永大司監督のトークショーに参加した。初見は2月にミリオン座で観たが、浩輔(鈴木亮平)と龍太(宮沢氷魚)の切なく甘く美しい秘密の友だちの関係性が、あまりにも自然に、寄り添いたいほどピュアに描かれていて、添い遂げられない2人の世界に涙した。日本のLGBTQを扱った映画の中でも、リアリティにおいては屈指の作品だと思った。

原作は2020年に逝去された高山真さん。映画鑑賞後原作を読んだが、主人公の「憎いほど辛かった」故郷が、「東京から3時間あまりのこだましか止まらない駅。そこからJRの在来線で5つめ。さらにもう1本ローカル線で10分あまりの漁師町」と記述されているのを読んで「ちょっと待って、これわたくしの地元、蒲郡・形原じゃん!中学一緒じゃん!」とビックリ仰天した。蒲郡出身者で、作家の平野啓一郎さんやメジャーに行った千賀君は知っているが、高山さんは全く知らなかった。

岐阜に初めて来ていただいた松永監督は身長185の偉丈夫でカッコいい監督であったが、トークも抜群。『エゴイスト』で試みた撮影技法や狙いも惜しみなく披露していただけた。

松永監督の前作が、映画部ライター陣には評判の悪かった『Pure Japanese』だが、「あおり撮影にせざるを得なかったフレームの問題」「ジャンル映画で引き受けたが納得はいってない」「この反省が今回に繋がった。」など確信を答えていただけた。

当日のCINEXには50回以上観たという猛者の女性もいらっしゃったが、監督の日本映画の将来に対する熱量は半端なく、いつも以上に面白いトークショーだった。

映画は、わたし的には宮沢氷魚さんのナチュラルさが素晴しく、すでに大スターの鈴木亮平さんが宮沢氷魚くんを好きになる説得力があるとみる。

いま国会で議論となっているLGBTQ法案に、一石を投じる映画だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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