岐阜新聞 映画部

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ノートルダム大聖堂を守れ!極上のディザスター映画

2023年05月24日

ノートルダム 炎の大聖堂

©2022 PATHÉ FILMS – TF1 FILMS PRODUCTION – WILDSIDE – REPÉRAGE – VENDÔME PRODUCTION

【監督】ジャン=ジャック・アノー
【出演】サミュエル・ラバルト、ジャン=ポール・ボーデス、ミカエル・チリ二アン ほか

半端ない没入感で火事の現場を体感

GW明けの日曜日、町内会のメンバーで世界遺産の国宝・姫路城に行ってきた。この世界に誇る歴史的建造物は、1609年の築造以来一度も大規模な火災が無く、白く美しい姿を連綿として今に現わしている。

戦争でも生き残ったこの壮麗な城郭を火災から守るため、城中には天守閣を含め1078箇所のスプリンクラーが設置され、66台ある防犯カメラで24時間体制で監視、毎日の火災訓練・毎週の防水訓練を実施し防火対策をしているとのこと。そもそも白漆喰で塗り固めたお城で引火しにくいこともあって、414年変わらない姿を我々に見せているのだ。

法隆寺の金堂壁画の焼失(1949)や金閣寺の放火(1950)は歴史的出来事として知っていたが、2018年に発生した韓国の国宝第1号・崇礼門(南大門)放火事件は衝撃的であった。あたりまえにあった建物が消え去ってしまう!

本作は、2019年4月15日に発生したノートルダム大聖堂の火災を、臨場感たっぷりにリアルに再現した原因検証映画であると共に、半端ない没入感で火事の現場を体感できる極上のディザスタームービーである。

パリの中心地、シテ島にあるノートルダム大聖堂が火災にあっている光景は、呆然とするパリ市民と共に世界中で固唾を呑んで見守った。鉄塔が倒れたのは衝撃的であったが、辛うじて建物の全焼は免れ、日本流に言えば御神体というべき聖遺物を守ったのだ。

巨匠ジャン=ジャック・アノー監督は、一刻の猶予もない緊迫した現場を忠実に再現した。パリ市消防局員たちの勇敢で決して諦めない姿、しかし命と引き換えにしなかった勇気を讃え、奇跡の連続であったことを素直に喜び、文化財保護のためのヒントとなるような映画を作り上げた。

タリバンによるバーミヤーン大仏の破壊(2001)、ISによるパルミラ遺跡の破壊(2015)など、人間の手による破壊は言語道断だが、火災からは絶対守りたいのだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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