寄り道で明かされる運命の旅を見守る美しきパリ

『エッフェル塔 創造者の愛』(マルタン・ブルブロン監督)に続いて、フランス・パリを舞台にした映画『パリタクシー』の登場。100年以上前の古の過去の話から、今回は現代のお話となる。主役だったエッフェル塔も変わらず町を象徴するように起立している。そして、他にも、シャンゼリゼ通り、パルマンティエ大通り、ビル・アクム橋、チュイルリー公園、凱旋門…そして、これは予告でもありますが、もうすぐ主役として登場する "ノートルダム寺院" も見える。数々のパリの観光名所がご覧いただける。

パリでタクシーの運転手をしているシャルル(ダニー・ブーン)は、客商売にはあるまじき無愛想。金もないし、あったとしても自由に使える時間もない休みなし。そして最大の危機は免停寸前に追い込まれ、食い扶持の職さえ失えかねず、最愛の家族に会うことも出来ず、人生の危機に直面しイライラはつのるばかりだった。

そんな時、配車の依頼を受けることになる。指定の場所で待っていたのは92歳のマダム・マドレーヌ(リーヌ・ルノー)だった。そして彼女の目的地はパリを横断する、町の反対側に位置するシャルヴァンニ大通りだった。

反対側へ向かう奇妙な依頼。「近場だったらタクシーには乗ったりしない」訝しむシャルルを一蹴したマドレーヌは、高齢者施設入りを決めた身の上を語り出し、「寄り道をしてくれない？」と行先の変更を依頼する。

シャルルを演じるダニー・ブーンは、フランスを代表するコメディアンで、映画出演も多く、先に公開された『アプローズ、アプローズ！囚人たちの大舞台』(エマニュエル・クールコル監督)では、製作者としても名を連ねている。

マドレーヌは長いキャリアを誇り、レジオン・ドヌール勲章の受賞者でもある国民的シャンソン歌手リーヌ・ルノーが演じる。

実生活でも親交関係が深い、主役2人の息のあった丁々発止の掛け合いが素晴らしい。

寄り道によって明かされて行くマドレーヌの数奇な過去。感動に誘う素敵な旅をご堪能あれ。