岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

3大俳優が個性豊かに演じる自虐ネタムービー

2023年04月24日

コンペティション

©2021 Mediaproduccion S.L.U, Prom TV S.A.U.

【出演】ペネロペ・クルス、アントニオ・バンデラス、オスカル・マルティネス
【監督】ガストン・ドゥプラット、マリアノ・コーン

天才女性監督が作る映画の行く末は?

もし自分に有り余るほどの金があったらの与太話だが、私の3大妄想は「相撲部屋のタニマチとなる」「オーケストラのパトロンになる」と共に「映画のエグゼクティブプロデューサーになる」というのだ。結果も想定していて「名古屋場所で優勝する」「グラミー賞を取る」「キネ旬ベストワンに輝く」である。考えているだけで楽しくなってくる。

本作は、金は有り余っているが世間には尊敬されない大富豪が突如映画製作を思い立ち、読んだことも無いノーベル文学賞受賞作家の小説の映画化権を破格の値段で買い、観たことも無い映画賞常連の女性監督を起用して、名前だけは知っている大スターを並べて映画を作ったらこうなるという自虐ネタムービーだ。

私がもしプロデューサーだとして妄想すれば、大江健三郎氏の「万延元年のフットボール」を、河瀨直美監督で中尾彬さんと織田裕二さんの主演で製作するという感じだ。ちょっと怖いけど凄いのが出来そうな予感はする。

今の時代では考えられない「芸術は爆発だ!」系の天才女性監督ローラ(ペネロペ・クルス)に、どんな映画に出ても役名フェリックスというくらいイメージ最優先の大スター・フェリックス(アントニオ・バンデラス)、演技力抜群の性格俳優でベテランのイバン(オスカル・マルティネス)の水と油の3人が、自己主張を強烈に繰り出しつつ、よくわからないバランスで映画製作の準備にとりかかる。

映画のポスターにもなっているが、クレーンで吊り下げられた大きな岩の下でのリハーサルなど、常識人ではわかならい演出技法は感心しつつも滑稽だ。

イバンとフェリックスが激しく闘わせる演技論は、俳優が自分の過去を使い役の感情を理解しその役に成りきるメソッド演技か、あくまでも演技は型や技術であり見た目がそうであればいいという考え方の違いだ。セリフに感情を込めるのか棒読みがいいのかも同じだ。

大変見応えのあるドラマである。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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