岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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溢れる映画愛、映画館で観ないなんてもったいない

2023年04月11日

オマージュ

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【出演】イ・ジョンウン、クォン・ヘヒョ、タン・ジュンサン
【監督】シン・スウォン

イ・ジョンウンとクォン・ヘヒョが素晴らしい

『オマージュ』は、CINEXが東海地方初の上映ということもあり、私にとってはほぼ事前情報無しという理想的な形で初日にスクリーンで観ることができた。ありがたい限りだ。

映画黎明期の女性監督アリス・ギイは、リュミエール兄弟やメリエスと並ぶ映画製作の草分けであり初めて物語映画を作ったパイオニアだが、映画がビジネスとなるにつれ、女性ということで映画業界からしめだされ、映画史からは忘れ去られていった。彼女の功績はドキュメンタリー『映画はアリスから始まった』(2018)に詳しい。

本作は、韓国女性監督のパイオニア、ホン・ジェウォンが残した「女判事」を修復するために、現役の女性監督ジワン(イ・ジョンウン)が関係者を尋ね歩きながら、女性が自立していくための障壁や葛藤を通して連帯していく様を描いた、まさに彼女たちをオマージュした映画だ。

あとから調べてわかったことだが、映画の中のホン・ジェウォン監督は、韓国で2番目の女性監督ホン・ウノン(故人)をモデルにしており、映画「女判事」は実際に彼女が残した作品だ。

記念すべき「女判事」を元の状態に近づけるには、一部途切れた音声を今の声優たちによって補い、欠損したシーンは原版を探すことになる。

インディーズ系で3本だけ撮ったジワン監督にそのオファーが来て、彼女による映画の歴史探偵が始まる。未発見だったフィルムを発見した経緯など、真相に近づいていく過程はいささか乱暴で疑問符のつく推理となるが、ご都合主義とは言わせない。映画愛があり、先人に対するリスペクトさえあれば、多少の強引さは許容範囲だ。

インディーズ系の『オマージュ』だが、主演の2人は大物バイプレイヤーのイ・ジョンウンとクォン・ヘヒョ。安定した演技で映画を支えている。そして2人の息子に売り出し中の若手タン・ジュンサン。腋全開でセクシーさ爆発!

映画館で観ないなんてもったいない作品だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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