岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

働く現場の夢と現実

2023年03月28日

グッドバイ、バッドマガジンズ

©ふくよか舎/ピークサイド

【出演】杏花、ヤマダユウスケ、架乃ゆら、西洋亮、山岸拓生、菊池豪、岩井七世、春日井静奈、カトウシンスケ、グレート義太夫
【監督】横山翔一

化石の紙 幻想のデジタル

街の本屋さんは、今や絶滅危惧の危機的な状況下にある。その大きな要因のひとつに、コンビニの数が増えたことがあげられる。コンビニの雑誌コーナーは24時間営業と、身近に存在する利便性から、街の本屋経営の大きな部分を占めていた雑誌の売上を奪った。

確かに、それもある…しかし、コンビニの現状を見ると、かつての活気は失われ、立読みをするお客もあまり見かけなくなった。

出版業界で言えば、雑誌の売上は下降、勿論、活字本も売れなくなっている現状、”紙の本“ 離れが本当の理由なのかも知れない。

作る側に目を向けると、紙からデジタルへの移行は編集の現場でも進んでいるのだろうが…。

『グッドバイ、バッドマガジンズ』は、男性向け成人雑誌の現場、作る人々の奮闘を描いた映画である。

オシャレな女性雑誌の作り手として関わりたいと熱望し、念願叶って都内の出版社に就職した詩織(杏花)だったが、その現場は、オシャレのカケラもない、卑猥な写真や猥雑な用語が飛び交う、成人向け男性誌の編集部だった。

理想と現実のギャップに凹む詩織だったが、女性編集長として腕を振るう澤木や、女性ライターのハルたちが、性別に関係なく、自らの現場で自らが目指すべきものとして ”エロ" の追求にプライドを持って取組む姿に、次第に心を動かされて行く。

とは言え、漫画の現場で例えても、ときわ荘の時代のねじり鉢巻で、卓上の紙に向かって奮闘していた姿は、デジタルに変わっても、モニター画面に変わっても、その現実では大差はなく、ねじり鉢巻奮闘のアナログ精神は持続している。寝る間も惜しみ締切を守る涙ぐましい姿。

ある日、トラブルに遭遇した編集部は、その処理に追われ、退職者が続出する不測の事態に発展してしまう。

サクセスストーリーに終わらせない意欲は買いだが、出版編集部の有様のデジャブ感は新鮮味を欠き、焦点が定まらないのが惜しまれる。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

観てみたい

100%
  • 観たい! (15)
  • 検討する (0)

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

ページトップへ戻る