岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

インド発、映画と映画館応援ムービー

2023年02月27日

エンドロールのつづき

ALL RIGHTS RESERVED ©2022. CHHELLO SHOW LLP

【出演】バヴィン・ラバリ、バヴェーシュ・シュリマリ、リチャー・ミーナー、ディペン・ラヴァル
【監督・脚本・プロデューサー】パン・ナリン

ヤンチャ過ぎるサマイ君が可愛らしい

私にとってのインド映画は、ベンガルの村で育った少年オプーの半生を描く、名匠サタジット・レイ監督の『大地のうた』(1955/1966キネ旬1位)であった。アジア映画では、黒澤明監督の『羅生門』(1950)に続き西洋の映画人に度肝を抜かせた作品だが、いまわかるのはベンガル語の映画だということだ。

上映時間がやたら長く、唐突に「歌って、踊って」がフォーマットというインド映画のイメージは『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995)からで、そのジャンルからは『きっと、うまくいく』(2009)という傑作もでてきている。これらはヒンドゥー語の映画で、インドでは最も多くの人が喋る言語である。

インドでは20以上の言語が存在しそれぞれの言語別に映画が製作されているのだが、本作は日本で初めて一般公開されるグジャラート語の映画だ。ちなみに昨年大ヒットした『RRR』はテルグ語の映画である。

『エンドロールのつづき』は、映画を映画館で観る歓びを賛辞し、映画は人生の学校であることを証明し、人間が生きていくためには映画をはじめとする楽しみごとが衣食住とおなじ価値があることを示した、映画と映画館応援ムービーである。

本作の主人公・パン・ナリン監督の分身である9歳のサマイ君(バヴィン・ナバリ)は、カースト制の最高位バラモンの家系だが、お父さんはチャイ売りという経済的には貧しい家庭だ。

サマイ君は、映画を低劣なものと考えていたお父さんに初めて連れていってもらえたヒンドゥー教のカーリー女神様の映画を観て、そのアクションやストーリーテリングの面白さに加え、映画をスクリーンに映写するためのメカニズムについて夢中になってしまう。

サマイ君がヤンチャ過ぎて、「それ犯罪だぞ!」というシーンもあるが、「よき思い出」として片付けられるのは自己肯定感が強すぎるが、細かいとこなど気にしない。観て楽しい王道娯楽映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

観てみたい

100%
  • 観たい! (8)
  • 検討する (0)

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

ページトップへ戻る