岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ B! 元祖猫のイラストレーターの伝記 2023年02月21日 ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ ©2021 STUDIOCANAL SAS - CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 【出演】ベネディクト・カンバーバッチ、クレア・フォイ、アンドレア・ライズボロー、トビー・ジョーンズ、オリヴィア・コールマン(ナレーション) 【監督・脚本】ウィル・シャープ スタンダード画面が優しい絵画に変わる ルイス・ウェインは1860年、英国・ロンドンに生まれた。6人兄妹の長男で、下はすべて女の子だった。裕福な家だったが、20歳の時、父が他界したため、彼が家族の生活費を稼がなければならなくなった。 ウェストロンドンの美術学校で学んだ後、教師として務めていたが、低賃金だったこともあり、フリーの画家に転身を試みる。なんとか、いくつかの雑誌の挿絵の仕事を得る。その時の画題は風景画や動物画だった。 23歳の時、妹の家庭教師だったエミリーと結婚する。彼女は10歳も年長だった。当時は、年の差婚は問題視されることがあり、周囲は身分違いも持ち出し反対したが、ふたりはそれを押し切って結婚に踏み切った。 『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』は、ウェインの伝記映画で、20歳の頃のウェイン(ベネディクト・カンパーバッチ)から、エミリー(クレア・フォイ)との結婚に至るまでの話を史実に忠実に描いている。 当時の英国の上流階級の生活の様子、それも少し落ちぶれてしまった風情が、細やかな、美術衣装で再現されている。面白いのはウェインの家族のことで、女系の面々は揃って、家長ルイスに寄生=パラサイトすることを当然事のようにして横柄に家に居座る。妹の1人が精神病を患い、療養所に送られた暗い一面も忘れさせるおおらかさが救いになっている事だろう。 幸せな結婚生活も束の間、エミリーが癌である事が発覚し暗雲が垂れ込めるのだが…。 エミリーの闘病中、庭に迷い込んで来た仔猫を夫婦が見つける。ピーターと名付けたその飼い猫をモデルとして絵を描き始め、これがルイスが猫のイラストレーターとして大成する出発点となる。擬人化された猫は当時としては画期的なアイデアで、これが広く受け入れられた。 映画はエミリーの想い出とともに、ウェインの描く絵画のような画調に変わる。決して順風満帆とは言えなかったその生涯を優しく見つめるように。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (12)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2023年12月08日 / 『インファナル・アフェア 4K』3部作 香港ノアールの代表作がスクリーンで甦る 2023年12月08日 / 『インファナル・アフェア 4K』3部作 4Kで蘇った、香港製フィルムノワールの傑作 2023年12月08日 / 映画(窒息) セリフは一切なくモノクローム、これぞ作家の映画だ more 2022年08月10日 / シネマヴィレッジ8(青森県) リンゴ畑の真ん中にあるシネコンで家族揃って。 2021年04月28日 / Denkikan(熊本県) 九州で初めて活動写真の灯をともした老舗映画館 2020年11月25日 / 出町座(京都府) 商店街にある映画と本とカフェを愉しむ映画館 more
スタンダード画面が優しい絵画に変わる
ルイス・ウェインは1860年、英国・ロンドンに生まれた。6人兄妹の長男で、下はすべて女の子だった。裕福な家だったが、20歳の時、父が他界したため、彼が家族の生活費を稼がなければならなくなった。
ウェストロンドンの美術学校で学んだ後、教師として務めていたが、低賃金だったこともあり、フリーの画家に転身を試みる。なんとか、いくつかの雑誌の挿絵の仕事を得る。その時の画題は風景画や動物画だった。
23歳の時、妹の家庭教師だったエミリーと結婚する。彼女は10歳も年長だった。当時は、年の差婚は問題視されることがあり、周囲は身分違いも持ち出し反対したが、ふたりはそれを押し切って結婚に踏み切った。
『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』は、ウェインの伝記映画で、20歳の頃のウェイン(ベネディクト・カンパーバッチ)から、エミリー(クレア・フォイ)との結婚に至るまでの話を史実に忠実に描いている。
当時の英国の上流階級の生活の様子、それも少し落ちぶれてしまった風情が、細やかな、美術衣装で再現されている。面白いのはウェインの家族のことで、女系の面々は揃って、家長ルイスに寄生=パラサイトすることを当然事のようにして横柄に家に居座る。妹の1人が精神病を患い、療養所に送られた暗い一面も忘れさせるおおらかさが救いになっている事だろう。
幸せな結婚生活も束の間、エミリーが癌である事が発覚し暗雲が垂れ込めるのだが…。
エミリーの闘病中、庭に迷い込んで来た仔猫を夫婦が見つける。ピーターと名付けたその飼い猫をモデルとして絵を描き始め、これがルイスが猫のイラストレーターとして大成する出発点となる。擬人化された猫は当時としては画期的なアイデアで、これが広く受け入れられた。
映画はエミリーの想い出とともに、ウェインの描く絵画のような画調に変わる。決して順風満帆とは言えなかったその生涯を優しく見つめるように。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。