岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品恋のいばら B! 炸裂する城定節と女優2人の可愛さに惚れた 2023年02月02日 恋のいばら ©2023「恋のいばら」製作委員会 【出演】松本穂⾹、⽟城ティナ、渡邊圭祐 【監督】城定秀夫 見事にドストライクな映画 現在の日本映画界において職人としてトップクラスの腕を持つ城定秀夫監督の新作だ。ピンク映画時代からずっと追いかけている身としては楽しみな1本だった。そしてワクワクしながらスクリーンで対面した本作は予想を超えた映画だった。 ストーリーはカメラマン健太朗(渡邊圭祐)の元カノ桃(松本穂香)が今カノ莉子(玉城ティナ)に近づいてある提案をするところから心に潜む嫉妬や羨望、そして恋愛感情が渦巻いた共犯関係となっていくというもの。しかしそれをドロドロしたドラマにせず、美しくロマンティックな女性2人の映画にしていることで美しい作品になっている。 まず、目を引くのは計算されつくしたカメラと編集だ。はためくドレスでシーンが切り替わり、人物のアップで現在と回想を行き来するその鮮やかなこと。おかげでシーンが流れるようにつながり、物語が滑らかに動く。加えてシネマスコープサイズを効果的に使ったショットの数々、手持ちカメラや通行人などで動きをつける場面とフィックスで落ち着かせる場面の描き分け、大胆な照明も素晴らしい。特に終盤、健太朗の部屋で大暴れするシーンではブルーを基調とした照明を逆光にすることで無邪気にはしゃぐ桃と莉子の美しさが際立っている。そしてその時々の表情が的確なカメラアングルで捉えられていることにも注目だ。例えば、桃が恥ずかしそうに手を振る冒頭は正面から、莉子が道で踊るシーンは横から捉えるその的確さ。 そして城定監督のカメラの前でその魅力を存分に発揮し、キャラクターが生きているかのような演技で応えた松本穂香と玉城ティナの素晴らしさについても触れておこう。くるくると変わる2人の表情を見ているだけで映画の中へと引き込まれていく。コンプレックスを抱えたメガネっ子という城定印くっきりのキャラクターである桃と自信があるように見えて実は不安も嫉妬もいっぱいで占いを気にしちゃう莉子。そんな対極にいるようで実は似ている2人は友情や恋愛といった一言では言い表せない繊細な関係だが、そんなつながり方もステキではないだろうか。城定監督のテクニックもメガネっ子も松本穂香も玉城ティナも大好きな私には、見事にドストライクな映画であった。 語り手:天野 雄喜 中学2年の冬、昔のB級映画を観たことがきっかけで日本映画の虜となり、現在では24時間映画のことを考えながら過ごしています。今も日本映画鑑賞が主ですが外国映画も多少は鑑賞しています。 100% 観たい! (3)検討する (0) 語り手:天野 雄喜 中学2年の冬、昔のB級映画を観たことがきっかけで日本映画の虜となり、現在では24時間映画のことを考えながら過ごしています。今も日本映画鑑賞が主ですが外国映画も多少は鑑賞しています。 2024年04月24日 / ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター 4Kで甦る 憎悪の泥に塗れた官能的な愛の物語 2024年04月24日 / ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスター ジェーン・カンピオン監督の最高傑作、完璧な作品 2024年04月24日 / RED SHOES/レッド・シューズ オーストラリア発バレエ舞台の成長物語 more 2020年03月18日 / 布施ラインシネマ(大阪府) 大阪の下町で地元の人たちに愛されてきた映画館 2020年02月05日 / 福知山シネマ(京都府) 城下町にある映画館は幅広い年代から支持されている 2021年12月08日 / 【思い出の映画館】新宿プラザ劇場(東京都) 歌舞伎町で骨太な大作映画を観るならココ more
見事にドストライクな映画
現在の日本映画界において職人としてトップクラスの腕を持つ城定秀夫監督の新作だ。ピンク映画時代からずっと追いかけている身としては楽しみな1本だった。そしてワクワクしながらスクリーンで対面した本作は予想を超えた映画だった。
ストーリーはカメラマン健太朗(渡邊圭祐)の元カノ桃(松本穂香)が今カノ莉子(玉城ティナ)に近づいてある提案をするところから心に潜む嫉妬や羨望、そして恋愛感情が渦巻いた共犯関係となっていくというもの。しかしそれをドロドロしたドラマにせず、美しくロマンティックな女性2人の映画にしていることで美しい作品になっている。
まず、目を引くのは計算されつくしたカメラと編集だ。はためくドレスでシーンが切り替わり、人物のアップで現在と回想を行き来するその鮮やかなこと。おかげでシーンが流れるようにつながり、物語が滑らかに動く。加えてシネマスコープサイズを効果的に使ったショットの数々、手持ちカメラや通行人などで動きをつける場面とフィックスで落ち着かせる場面の描き分け、大胆な照明も素晴らしい。特に終盤、健太朗の部屋で大暴れするシーンではブルーを基調とした照明を逆光にすることで無邪気にはしゃぐ桃と莉子の美しさが際立っている。そしてその時々の表情が的確なカメラアングルで捉えられていることにも注目だ。例えば、桃が恥ずかしそうに手を振る冒頭は正面から、莉子が道で踊るシーンは横から捉えるその的確さ。
そして城定監督のカメラの前でその魅力を存分に発揮し、キャラクターが生きているかのような演技で応えた松本穂香と玉城ティナの素晴らしさについても触れておこう。くるくると変わる2人の表情を見ているだけで映画の中へと引き込まれていく。コンプレックスを抱えたメガネっ子という城定印くっきりのキャラクターである桃と自信があるように見えて実は不安も嫉妬もいっぱいで占いを気にしちゃう莉子。そんな対極にいるようで実は似ている2人は友情や恋愛といった一言では言い表せない繊細な関係だが、そんなつながり方もステキではないだろうか。城定監督のテクニックもメガネっ子も松本穂香も玉城ティナも大好きな私には、見事にドストライクな映画であった。
語り手:天野 雄喜
中学2年の冬、昔のB級映画を観たことがきっかけで日本映画の虜となり、現在では24時間映画のことを考えながら過ごしています。今も日本映画鑑賞が主ですが外国映画も多少は鑑賞しています。
語り手:天野 雄喜
中学2年の冬、昔のB級映画を観たことがきっかけで日本映画の虜となり、現在では24時間映画のことを考えながら過ごしています。今も日本映画鑑賞が主ですが外国映画も多少は鑑賞しています。