岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

東映の活動屋魂が詰まった、時代劇の決定版

2023年01月31日

レジェンド&バタフライ

©2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会

【出演】木村拓哉、綾瀬はるか、伊藤英明、中谷美紀、宮沢氷魚、市川染五郎、北大路欣也
【監督】大友啓史

お客に喜んでもらえるなら何でもやれ!

1月30日放映の中京テレビ「しゃべくり007」に木村拓哉さんと綾瀬はるかさんが出ていたが、当然のように"ぎふ信長まつり"の光景に触れられていた。映画だけでなく岐阜にとっても凄まじい宣伝効果だったことがよくわかる。

本作は古沢良太さんのオリジナル脚本。2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」も古沢さんのオリジナルで、両作共、史実をなぞりながら固定観念にとらわれず、全体像を解りやすく進めながら細部にも手を抜かず、笑いをたっぷりとりいれたホームドラマといってもいいような時代物となっている。

映画の三英傑は、信長=木村拓哉、秀吉=音尾琢真、家康=斎藤工。ドラマの三英傑は、信長=岡田准一、秀吉=ムロツヨシ、家康=松本潤。信長と秀吉は名古屋弁、家康は三河弁で喋り、時代考証にとらわれない現代口調のセリフと、所作にとらわれない今風な動きで、古沢調の世界を構築している。

シナリオが上手いのは言わずもがな。2時間48分という長尺だからといって、信長の人生をダイジェスト版のようにつまんではおらず、有名な"桶狭間の戦い"も"金ヶ崎の戦い"も"長篠の戦い"もあっさり通り過ぎ、信長と濃姫の濃密な物語が中心となっているのはさすが古沢流だ。

しかしながら映画で取り上げられる"延暦寺の焼き討ち"と"本能寺の変"のモブ(群衆)シーンは凄まじい迫力だ。時代劇の雄・東映京都撮影所の裏方・職人たちの技術と活動屋魂がすべて詰まっている。「お客に喜んでもらえるなら何でもやれ! 」の東映精神が熱くギラギラしているのだ。

殺陣、セット、小道具、衣装、メイク、どれをとってもプロの仕事であり、期待を一身に背負った木村さんや綾瀬さんをはじめとする役者陣のみんなが、いいものを作ってやろうと本気の演技をしている。

信長ものという王道の時代劇をスーパースター主演で作る。日本映画黄金時代を彷彿とさせる決定版の時代劇だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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