岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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経済目線の定番江戸時代喜劇

2023年01月06日

近江商人、走る!

©️2022 KCI LLP

【出演】上村 侑、森永悠希、真飛 聖、黒木ひかり、前野朋哉、田野優花、村田秀亮(とろサーモン)、鳥居功太郎、たむらけんじ、大橋彰(アキラ 100%)、高梨瑞樹、徳江かな、落合亜美、飯田周平、コウメ太夫、矢柴俊博、堀部圭亮、渡辺裕之(特別出演)、藤岡弘、(特別出演)/筧 利夫
【監督】三野龍一

商才は地理から生まれる?人が生み出す?

「越後屋、お前も悪だなぁ」というのは、時代劇ドラマの決め台詞…というのは誤解で、実際にはコントなどで象徴的に広く使われるようになり、定番化したものだというのが正解かも知れない。

江戸時代の身分の区分は、武士、町人、百姓というように大きく3つに分かれていた。その比率は、百姓が85%、武士は7%、町人は5%(その他僧侶など)だったと言われている。もうひとつ、学校の社会科(日本史)で習ったのは、"士農工商" という4分割で、これには順位が示されていた。

その内実は圧倒的多数の百姓が、年貢(米など)を納めることで、武士の生活を賄っていたわけで、その順位は武士の都合が優先されたものだと言える。時代劇では、農民は虐げられる存在として描かれ、いちばん低く言われている商人は、実は経済を牛耳っていたわけで、悪い武士は、悪い商人と悪い企みをする。越後屋は悪徳商人で、悪巧みをする代官などの武士は、真の武士道からは外れた "小役人" だった。

『近江商人、走る!』は、近江商人との出会いで、大津(近江)の米問屋・大善屋で丁稚奉公することになる銀次(上村侑)の活躍を描く時代劇である。

冒頭からの展開は、最初に否定した時代劇に存在する固定概念通りに展開する。武士は傲慢な奴らで、虐げられるのは町人。映画では商人は武士とグルにはならずに、大善屋は悪奉行(役人)の企みで、窮地に立たされる。

2003年に刊行された、歴史学者の磯田道史の著作「武士の家計簿」は、ベストセラーとなり話題となったが、この本をきっかけに、江戸時代にも経済があった、という観点が波及することになった。経済というのは生活者目線ということであり、認識を広げる効果をもたらした。

背負うことになった大善屋の借金返済のため、銀次が画策するのは "先物取引" (=裁定取引)のようなもの。大津と堂島(大阪)の距離差と時間差を知恵で乗りこえる作戦が展開される。

親切な分かり易さでまとめられた時代劇と言えるが、突っ込みどころも多く、引っ掛かると取返しがつかなくなるのでご用心あれ。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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