岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品パラレル・マザーズ B! シングマザーを選択したふたりの母の波乱の物語 2022年12月06日 パラレル・マザーズ © Remotamente Films AIE & El Deseo DASLU 【出演】ペネロペ・クルス、ミレナ・スミット、イスラエル・エレハルデ、アイタナ・サンチェス=ギヨン、ロッシ・デ・パルマ、フリエタ・セラーノ 【監督・脚本】ペドロ・アルモドバル 無理やり感は否めないがどうしても語りたかった フォトグラファーとして成功しているジャニス(ペネロペ・クルス)は、この日も旧知の友人アルトゥロ(イスラエル・エレハルデ)を被写体に、グラビアの撮影の仕事をこなしている。 ジャニスは、スペイン内戦時代の負の遺産、弾圧殺害され密かに埋葬隠蔽された人々の遺骨発掘のための事業を故郷で立ち上げようとしていた。 その助けを政治事情にたけたアルトゥロに相談し、協力の快諾を得る。再会の勢いからふたりは男女の仲になる。結婚生活は破綻しているとはいえ既婚者のアルトゥロ、一夜のアバンチュールと思ってはいたのだが。 それから10ヶ月後。とある病院の産科の病室には、臨月に膨らんだお腹のジャニスがいた。 その病棟で同じく臨月の17歳のアナ(ミレナ・スミット)に出会う。アナは予期せぬ妊娠であること、今はお腹の子を無事に出産して、シングルマザーとして生きることを、ジャニスもまた同じく、ひとり子どもを育てることを半ば決意していた。 そしてふたりは、同じ日、女の子を出産する。 『パラレル・マザーズ』は、別々の世界=パラレルワールドで生きてきた、ふたりの女性の運命的な出会いと、その後辿ることになる数奇な生き方を描く女性映画である。 監督はスペインを代表する監督ペドロ・アルモドバル。これまでも繰り返し題材にしてきた "母の物語" を新たなアプローチで描いている。 ジャニスは出産後、父親アルトゥロに娘を会わせるのだが、セシリアと名付けられた赤ん坊の風貌を見て、自分の子とは思えないと言い切る。一度は取り乱したものの、ジャニスはセシリアのDNA検査することになり、実子ではないという衝撃の検査結果を受け取る。そして物語はアナとの再会によって思わぬ展開となる。アナはあの日出産した女の子を亡くしていた。 赤ちゃんの取り違えという主旋律に、アルモドバル作品らしい同性愛を絡めた変調を交える。しかし、イントロだと思っていたスペイン内戦の遺骨発掘の話をサビにするのは、些かアンバランスだと言わざるを得ないのが少し残念だ。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (4)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年09月06日 / 幸せのイタリアーノ 嘘からはじまるロマンチックコメディ 2024年09月06日 / 愛に乱暴 真面目に生きてきた女性が壊れる 2024年09月06日 / 愛に乱暴 人間の我慢の限界を描き、本質に迫った映画 more 2022年02月23日 / 長野グランドシネマズ(長野県) 長野大通り沿いに建つガラス張りのランドマーク 2022年11月23日 / シネマ・ロサ(東京都) 池袋の歓楽街にある映画館で街ごと映画を楽しむ。 2020年07月01日 / 新世界国際劇場(大阪府) 様々な人間模様が繰り広げられる新世界の映画館 more
無理やり感は否めないがどうしても語りたかった
フォトグラファーとして成功しているジャニス(ペネロペ・クルス)は、この日も旧知の友人アルトゥロ(イスラエル・エレハルデ)を被写体に、グラビアの撮影の仕事をこなしている。
ジャニスは、スペイン内戦時代の負の遺産、弾圧殺害され密かに埋葬隠蔽された人々の遺骨発掘のための事業を故郷で立ち上げようとしていた。
その助けを政治事情にたけたアルトゥロに相談し、協力の快諾を得る。再会の勢いからふたりは男女の仲になる。結婚生活は破綻しているとはいえ既婚者のアルトゥロ、一夜のアバンチュールと思ってはいたのだが。
それから10ヶ月後。とある病院の産科の病室には、臨月に膨らんだお腹のジャニスがいた。
その病棟で同じく臨月の17歳のアナ(ミレナ・スミット)に出会う。アナは予期せぬ妊娠であること、今はお腹の子を無事に出産して、シングルマザーとして生きることを、ジャニスもまた同じく、ひとり子どもを育てることを半ば決意していた。
そしてふたりは、同じ日、女の子を出産する。
『パラレル・マザーズ』は、別々の世界=パラレルワールドで生きてきた、ふたりの女性の運命的な出会いと、その後辿ることになる数奇な生き方を描く女性映画である。
監督はスペインを代表する監督ペドロ・アルモドバル。これまでも繰り返し題材にしてきた "母の物語" を新たなアプローチで描いている。
ジャニスは出産後、父親アルトゥロに娘を会わせるのだが、セシリアと名付けられた赤ん坊の風貌を見て、自分の子とは思えないと言い切る。一度は取り乱したものの、ジャニスはセシリアのDNA検査することになり、実子ではないという衝撃の検査結果を受け取る。そして物語はアナとの再会によって思わぬ展開となる。アナはあの日出産した女の子を亡くしていた。
赤ちゃんの取り違えという主旋律に、アルモドバル作品らしい同性愛を絡めた変調を交える。しかし、イントロだと思っていたスペイン内戦の遺骨発掘の話をサビにするのは、些かアンバランスだと言わざるを得ないのが少し残念だ。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。