岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

名監督たちがお得意な手法で奏でる七重奏のオムニバス

2022年11月29日

七人樂隊

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【出演】ティミー・ハン、フランシス・ン、ジェニファー・ユー、ユン・ワー、ン・ウィンシー、サイモン・ヤム、チョン・タッミン、ラム・シュ
【監督】サモ・ハン、アン・ホイ、パトリック・タム、ユエン・ウーピン、ジョニー・トー、リンゴ・ラム、ツイ・ハーク

溢れる香港愛、あなたが好きな一本はどれ?

独自の歴史を持っていた香港映画が世界中で認知されるようになったのは、カンフー映画が大ヒットした1970年代以降。派手でわかりやすい娯楽映画や、自由な発想で表現力豊かに作られた芸術映画などで、世界映画界の一角を占めるようになった。

そんな香港映画界を支えてきた名匠7人が、各時代別に分担して作ったオムニバス映画が『七人樂隊』である。1本ずつ解説してみたい。()内は、(監督名/年代)。

1:稽古(サモ・ハン/1950年代) 厳しい先生とサボりたい生徒のせめぎ合い。身体の動きが軽快でリズミカル。アクションは映画の原点だと再認識できる。

2:校長先生(アン・ホイ/1960年代) 校長先生と若き教師と教え子たちの話。先生と生徒の関係が人情味豊かに味わい深く描かれる。

3:別れの夜(パトリック・タム/1980年代) 高校生どおしの即物的な恋愛青春もの。香港ニューウェーブを感じさせる一篇。

4:回帰(ユエン・ウーピン/1997年) 中国返還を前にしたおじいちゃんと孫娘の物語。カンフーが得意なじいちゃんが、消えゆく香港の伝統を体現しているようだ。

5:ぼろ儲け(ジョニー・トー/2000年代) IT企業が勃興してきたり、SARSが流行ったり、中国本土との直接株式取引が噂されたり、その都度投資話で盛り上がる様子がバカに可笑しい。

6:道に迷う(リンゴ・ラム/2018年) 香港に里帰りした中年男が、進化を遂げている街並みに遭遇し道に迷う。古い香港の風景がセピア色の写真のように出てきて懐かしくあると共に、中年男は現代の香港にとまどっているようだ。

7:深い会話(ツイ・ハーク/近未来) 精神科医と患者の予測不可能な不条理コメディー。何が本当なのか楽屋落ちも含めて、けむに巻かれた感じだ。

名監督たちがお得意な手法で奏でる七重奏のオムニバス。監督たちの香港愛が溢れていて大変面白い。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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