岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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古い映像を使った新しいダイアナ映画

2022年11月01日

プリンセス・ダイアナ

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【監督】エド・パーキンズ

初めて知った"パパラッチ"という言葉

ダイアナ元妃が1997年パリで交通事故死したニュースは衝撃的だった。私の中では世界三大王女(モナコ公妃のグレース・ケリー、『ローマの休日』のオードリー・ヘプバーン)の一人であり、ピープルズプリンセスでもあったわけで、離婚したとはいえまさか交通事故で亡くなるなんて信じられなかった。

そのとき初めて知ったのが"パパラッチ"という言葉。スクープ写真を撮るためにダイアナ元妃に群がったようなカメラマン達のことで、イタリア語で"やぶ蚊"を意味する方言だそう。フェデリコ・フェリーニ監督の『甘い生活』(1960)に登場した報道カメラマンが由来ということだ。

『プリンセス・ダイアナ』は、膨大なアーカイブ映像だけを使って編集したドキュメンタリーだ。

彼女の一挙手一投足は、パパラッチを含む報道カメラマン達に常にカメラを向けられてきた。もちろんそれは新聞や雑誌が売れ、テレビの視聴率が上がるからだ。

通常報道映像はその場限りでの使用が大半だと思うが、それを取捨選択し繋ぎ合わせれば、監督の意図やメッセージが伝わる芸術となりうるのだ。

  ゆかりの人にインタビューして偲ぶわけでもないし、ナレーションで当時を説明するわけでもない。リアルタイムに記録された映像だけで構成されている本作は、より客観的にダイアナ元妃の幸せと苦悩、立ち位置の変遷を浮かび上がらせる。

ダイアナが、チャールズ皇太子(現国王)と出会い結婚するまでのシンデレラストーリーは、結果的にイギリス王室の人気と支持率を大幅に上げることになったのは厳然たる事実だ。

結婚後もダイアナ妃のみが注目を集め、チャールズ皇太子を「じゃない方」として扱っていたマスコミの冷徹ぶり。離婚に至る際の、英国王室からの「邪魔者扱い」。離婚した後も、マスコミや世間から注目を集めることを利用したダイアナ元妃の慈善活動。

古い映像を使った新しいダイアナ映画だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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