岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

多幸感に溢れた人生の思い出を呼び覚ましてくれる映画だ

2022年10月25日

サバカン SABAKAN

©2022 SABAKAN Film Partners

【出演】番家一路、原田琥之佑、尾野真千子、竹原ピストル、貫地谷しほり、草彅剛、岩松了、村川絵梨、福地桃子、ゴリけん、八村倫太郎、茅島みずき、篠原篤、泉澤祐希
【監督】金沢知樹

「じゃあね、またね!」の挨拶は、魔法の言葉

『サバカン』を観ていたら、私の小学生時代の冒険譚やノスタルジー溢れる少年映画の思い出が蘇ってきた。

小6の時、ちょっとヤンチャな友達3人と一緒に、子どもだけでは禁止されていた名古屋まで遠出し東山動物園に行ったこと。地図好きの私が誘われて案内しながら行ったのだが実に楽しかった。あとから先生にバレてこっぴどく叱られたのもいい思い出だ。

映画は、少年冒険モノのド定番『スタンド・バイ・ミー』(1986)や、戦時中に富山に疎開した進一と地元の番長タケシの友情物語『少年時代』(1990)、小学生が送電線のルーツを探りに鉄塔を辿っていく『鉄塔武蔵野線』(1997)など。

『サバカン』のもつポテンシャルは映画そのものだけでなく、そこから派生する多幸感に溢れた人生の思い出を呼び覚ましてくれるところにもある。映画の持つ力は偉大だ。

お語は小学5年の久田君(番家一路)と竹本君(原田琥之佑)のひと夏の冒険と友情の物語。

私は小5の頃は本好きのおとなしい少年で、自然に久田君(ヒサちゃん)に同化して映画を見始めた。そこに現れたちょっとニヒルで孤高の存在でスポーツ万能の竹本君(タケちゃん)。友達の同調圧力からはなんとかやり過ごしタケちゃんと仲良くなる。ヒサちゃんの人間力が素晴らしくタケちゃんのさりげない人懐っこさも相まって、お互いの信頼感を生んで友達になっていく。ブーメラン島へ行くことになって自転車で2人乗りして出発するシーンからは涙が頬を伝ってきた。

2人で遊ぶ夏休みはノスタルジーいっぱいでどのシーンも素晴らしいが、やっぱりタケちゃんちで食べたサバカンのお寿司の旨そうなこと。そして2人が別れ際に交わす「じゃあね、またね!」の挨拶は、末永い友情を表す魔法の言葉だ。

草彅(なぎ)剛さんの落ち着いて安定したナレーションも、優しい笑顔の出演シーンも絶品。未だに続く友情は信頼と優しさの極みだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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