岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

人生を変えた出会い。素晴らしい時間を過ごした8日間

2022年10月24日

ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド

© B6B-II FILMS INC. 2020. All rights reserved

【出演】デヴィッド・リンチ、パティ・ボイド、ジェニー・ボイド、マーク・ルイソン、ルイス・ラファム、ローレンス・ローゼンタール、リッキ・クック、ハリプラサード・チョウラシア、デヴィアニ・サルツマン
【監督・脚本・製作】ポール・サルツマン

アポ無し訪問で、「ヤベー、ビートルズじゃん」

今から30年以上も前のことだが、たまに通っていた名古屋車道のスナックで、1人で吞んでいらっしゃった上方漫才の至宝・夢路いとしさんに偶然お逢いしたことがある。

関西のお笑いが大好きだった私は、ママに許可をとって恐る恐る話しかけたら実に気さくな方で、私が「いとしこいし」の漫才でいかに笑わせてもらったかを酔った勢いで熱く語ったら、師匠も色々な裏話を喋ってくださり、最後はいとしさんが泊まっていたホテルまでタクシーに同乗させていただいた。一生の思い出である。

本作はカナダのテレビプロデューサー、ポール・サルツマンが24歳のとき、急に思い立って自分探しの旅にインドに訪れた際に、予想だにせぬ出会いで人生が変わったというドキュメンタリー映画だ。ネットの感想で「ビートルズの曲がまともにかからない」とのがっかりポイントを指摘する声があるが、あくまでもポール・サルツマンの視点なわけで、インドでの「ザ・ビートルズ」は彼の被写体なのだ。

サルツマンが彼女に振られた傷心を癒すため、瞑想運動の創始者マハリシにアポ無しで訪れる。門弟から「ビートルズへの対応で忙しい」と断られたが8日間粘ったら修行の許可をもらえた。なんだか永平寺の修行僧みたいだ。

敷地に入ってみると、まずはジョン・レノンの顔を見つける。「ヤベー、ビートルズじゃん」。

ずうずうしいサルツマンは、さりげなくビートルズの輪の中に入る。「カナダ出身?イギリスの植民地か。今でも女王陛下を尊敬してるのか?」とジョンにジョークを飛ばされた彼は「今でも女王と一緒にいるのはそっちでしょ」とジョークを言い返す。これで一気に打ち解ける。

「オブラディ オブラダ」の製作過程など実に興味深いが、なんといっても「バンガロー・ビル」だ。トラの殺生をマハリシに告白したアメリカ人の話をそのまま歌詞にしている。

人生を変えた出会い。素晴らしい時間だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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