岐阜新聞 映画部

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森林の経済的価値を生み出す"木樵"。温もりを感じる映画

2022年10月03日

木樵

©2021「木樵」製作委員会

【出演】面家一男、澤和宏、瀧根清司 ほか
【監督】宮﨑政記

映画の中の面家さんは本当にいい顔だ

私はボランティアで「水源の里を守ろう 木曽川流域みん・みんの会」に所属している。“森は水の源、水は命の源、川は命のつながり”をモットーに、上流の山間地で暮らしながら森を守り、「水」を支えている人びとに感謝し、まなざしを向ける会だ。

「上流は下流を思い、下流は上流に感謝する」を合言葉に、木曽川流域(木曽川、飛騨川、愛知用水)の上下流交流や連携を目的に活動している。

ドキュメンタリー映画『木樵』の主人公面家(おもや)さんが"木樵"として生計を立てている高山市滝町は、日本海に注ぐ神通川流域になるが、感謝する気持ちに変わりはない。

間伐などの手入れがされた人工林の山は雨水が土壌に染み込む。その植物プランクトンを含んだ栄養源豊富な水が川から海へ流れ、豊かな漁場へと繋がっていく。

荒れ果てた山や伐採後に放置された山は、雨水が土壌に蓄えられず地表を流れてしまう。

映画で語られるが国内の木材価格は最盛期の4分の1らしい。価格競争だけだったら全く割りに合わない商売だ。

しかし面家さんたち木樵は誇りをもって仕事をしている。森林の経済的価値は、生み出すお金だけでなく、土砂流出を抑え、二酸化炭素を吸収し、水産資源を育んでいることを知っているからだ。

映画の中の面家さんは本当にいい顔だ。CINEX映画塾で本物の面家さんにお会いしたが、映画以上にとってもハンサム。朴訥な方なので、私が偉そうに講釈を垂れているような「森林を守ることが何故大切か?」なんてことは一切おっしゃらない。愛妻弁当を美味しそうに食べる姿はチャーミングの一言だ。

場内で笑いが起こったのは、面家さんの奥さん(関市出身)が嫁いだとき「飛騨弁が全然わからへんかった。だちかんって何?」。

私のような「じゃんだらりん」の三河弁エリアの人間からは、みんな「やってまった」にしか聞こえないがどうやら違うらしい。温もりを感じる映画だ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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