岐阜新聞 映画部

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ノルウェー発、自分探し恋愛映画の秀作

2022年09月22日

わたしは最悪。

© 2021 OSLO PICTURES - MK PRODUCTIONS - FILM I VÄST - SNOWGLOBE - B-Reel – ARTE FRANCE CINEMA

【出演】レナーテ・レインスヴェ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー、ハーバート・ノードラム
【監督】ヨアキム・トリアー

自分が何者か、自分は何がしたいのか?

私は1990年から、劇場で観た全ての映画をデジタルで管理している。その中で北欧映画は今日までの32年間で、デンマーク映画24本(スサンネ・ピア、ラース・フォン・トリアー等)、フィンランド映画16本(アキ・カウリスマキ、ミカ・カウリスマキ等)、スウェーデン映画14本(イングマール・ベルイマン、ビレ・アウグスト等)を観ているが、ノルウェー映画は本作を含めて5本しか観てない。

アート系映画の宝庫である北欧で私の中では印象の薄いノルウェーであったが、白夜の首都オスロを舞台にした『わたしは最悪。』は、ヨアキム・トリアー監督の5本目の長編にして、米アカデミー賞脚本賞、国際長編映画賞にノミネートされた自分探し恋愛映画の秀作である。

ノルウェーは7月に発表された「ジェンダーギャップ指数2022」(世界経済フォーラム)の男女平等ランキングで、調査対象146か国中アイスランド・フィンランドに次いで第3位だった(ちなみに日本は116位)。

親しみやすい美人であるユリヤ(レテーナ・レインスヴェ=カンヌ映画祭女優賞受賞)であるが、いくら男女同権の国であっても、「自分が何者か」「自分は何がしたいのか」がわからないのも男女平等だ。いや開かれているからこそ「どうせ女性は」とは一切ならないのだ。

10歳以上年上で知的で穏やかなグラフィック・ノベル作家アクセル(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)から「安定した家庭と子どもが欲しい」と言われれば、アクセルには納得する説明ができないまま出て行ってしまう。

ほぼ同い年のコーヒーショップ店員のアイヴィン(ハーバート・ノードラム)とすぐにねんごろになるも、感情的に「あんたなんかコーヒーを運んでいるだけでいい」と上から目線で罵倒してしまう。

その都度「わたしって最悪でしょ」って自問自答するわけだが、共感すること請け合いだ。今後はノルウェー映画にも注目するのだ。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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