岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品冬薔薇(ふゆそうび) B! ままならない人生をドライに描いた傑作 2022年09月20日 冬薔薇(ふゆそうび) ©2022「冬薔薇(ふゆそうび)」FILM PARTNERS 【出演】伊藤健太郎、小林薫、余 貴美子、眞木蔵人、永山絢斗、毎熊克哉、坂東龍汰、河合優実、佐久本宝、和田光沙、笠松伴助、伊武雅刀、石橋蓮司 【脚本・監督】阪本順治 親子といえど分かり合うことの難しさ 阪本順治監督の劇映画はすべて見ている(「カメレオン」以外は映画館で)。 「どついたるねん」、「魂燃え!」、「半世界」等お気に入りの傑作も少なくないが、私には合わなかった作品もある。 今回の「冬薔薇」は、主演の伊藤健太郎を当て書きしたオリジナル脚本らしい。親子といえど分かり合うことの難しさを、厳しくリアルに描いた人間ドラマで、阪本順治作品の中でも上位に押したい傑作だった。 伊藤健太郎が演じる主人公は、親から距離を置かれて育ったからか、自分勝手な行いで相手を傷つけ、誰とも良好な人間関係を築けない。その為、ヤクザまがいの連中とつるんでしまう。後半悪い連中とは袂を分かつが、これまでの行いが災いして、淡い希望も潰えてしまう。 伊藤健太郎をはじめ、小林薫、余貴美子、石橋蓮司、真木蔵人ら俳優陣が皆いい。こうしてキャスティングが見事に嵌った時の阪本順治作品にハズレはない。 ままならない人生をドライに描いているが、印象深いエピソードの数々が登場人物の人間味を滲ませ、深い味わいの余韻を残す。 語り手:井上 章映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。 99% 観たい! (196)検討する (1) 語り手:井上 章映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。 2024年09月26日 / どら平太 日本映画黄金時代を彷彿とさせる盛りだくさんの時代劇 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 助けを求める人はもはや敵ではなく、ただの人間だ 2024年09月26日 / 潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 海の男たちが下す決断を描くヒューマンドラマ more 2018年08月30日 / 目黒シネマ(東京都) スタッフ総出で観客を楽しませてくれる老舗名画座 2021年03月17日 / 盛岡ピカデリー/ルミエール(岩手県) 東北の城下町にある市民が愛した小さな映画館 2020年01月22日 / キネカ大森(東京都) ミニシアターから名画座まで…いくつもの顔を持つ街の映画館 more
親子といえど分かり合うことの難しさ
阪本順治監督の劇映画はすべて見ている(「カメレオン」以外は映画館で)。
「どついたるねん」、「魂燃え!」、「半世界」等お気に入りの傑作も少なくないが、私には合わなかった作品もある。
今回の「冬薔薇」は、主演の伊藤健太郎を当て書きしたオリジナル脚本らしい。親子といえど分かり合うことの難しさを、厳しくリアルに描いた人間ドラマで、阪本順治作品の中でも上位に押したい傑作だった。
伊藤健太郎が演じる主人公は、親から距離を置かれて育ったからか、自分勝手な行いで相手を傷つけ、誰とも良好な人間関係を築けない。その為、ヤクザまがいの連中とつるんでしまう。後半悪い連中とは袂を分かつが、これまでの行いが災いして、淡い希望も潰えてしまう。
伊藤健太郎をはじめ、小林薫、余貴美子、石橋蓮司、真木蔵人ら俳優陣が皆いい。こうしてキャスティングが見事に嵌った時の阪本順治作品にハズレはない。
ままならない人生をドライに描いているが、印象深いエピソードの数々が登場人物の人間味を滲ませ、深い味わいの余韻を残す。
語り手:井上 章
映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。
語り手:井上 章
映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。