岐阜新聞 映画部

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「本当の家族」とは何か?厳しくも温かいファミリー映画

2022年09月05日

1640日の家族

©︎ 2021 Deuxième Ligne Films - Petit Film All rights reserved.

【出演】メラニー・ティエリー、リエ・サレム、フェリックス・モアティ、ガブリエル・パヴィ
【監督・脚本】ファビアン・ゴルジュアール

「大切なのは、愛しすぎないこと」?

不寛容で自己中心的な世の中にあって、血の繋がらない疑似家族の絆を描いた映画が、是枝裕和監督作をはじめ数多く出てきた。

本作の原題は『La vraie famille(本当の家族)』である。『1640日の家族』は、フランスの里親制度を通して「本当の家族」とは何か?を問うた厳しくも温かいファミリー映画である。

アンナ(メラニー・ティエリー)とドリス(リエ・サレム)夫妻には3人の子供がおり絵に描いたような幸せな家族だ。1番下の子どもシモン(ガブリエル・パディ)は里子だが、本当の息子のように一緒に暮らしている。

4年半たって実の父親エディ(フェリックス・モアティ)が「息子と一緒に暮らしたい」と正式に申し入れたことから、制度としてはわかっていても、お互いの息子に対する深い愛情が心の葛藤を抱かせる。結論は出ているのだが、子どもに寄り添った本当の幸せとは何か?が観ている観客にも問われてくる。

ファビアン・ゴルジュアール監督自身の経験がベース。里親としての心構えは映画のコピーのように「大切なのは、愛しすぎないこと」が前提だ。

しかし映画を観ていると、アンナを含め家族のシモンに対する愛はとても深く、ビジネスライクに別れるなんて絶対無理だとしか思えない。

里親制度を円滑にすすめる児童社会援助局の人はルールに従って仕事をしているだけだし、実の父親だって奥さんの死のショックから立ち直り努力して子どもを育てられる環境を作ったのだ。

そんなことわかってるけど、でもね・・・っていうアンナの気持ちはよくわかるし、ドライな感覚になれなんて無理なのだ。だからこそこの映画は泣けるのだ。

監督のインタビューによれば参考にした映画は『キッド』『クレイマー、クレイマー』『E.T.』だそう。私の好みと全く同じで男の子が可愛い映画の代表格だ。シモンを演じたカブリエル・パディ君も同じくらいキュートである。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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