岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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異様な緊張感!90分1本勝負の格闘技を見ているようだ

2022年08月22日

ボイリング・ポイント/沸騰

© MMXX Ascendant Films Limited

【出演】スティーヴン・グレアム、ヴィネット・ロビンソン、レイ・パンサキ、ジェイソン・フレミング、タズ・スカイラー
【監督・脚本・製作】フィリップ・バランティーニ

レストランの中は戦場だ。面白さ太鼓判!

本作最大の見どころは、90分間全編ワンショット撮影だ。舞台やスポーツ中継などカメラが定点であったり、ドキュメンタリーやニュース映像など演出がされてないものだったらまだわかるが、何しろ劇映画である。

特に本作は、10人ほどのメインキャストに加えざっと100人ほどの人数に演出をつけなければならない上、ロンドンにある本物のレストランでの撮影ということで動線の確保もままならなかっただろう。

監督からの「凄いの見せてやるからな、期待していいぞ」という意気込み充分、私は「撮影は上手くいってるんだろうか?」「余分なものが映りこんでないだろうか?」という異様な緊張感をもって、90分1本勝負の格闘技を見るみたいにスクリーンと対峙した。

オーナーシェフのアンディ(スティーヴン・グレアム)がレストランへ向かう途中、ただならぬ雰囲気で別居中の妻に携帯で電話をかけているところから始まり、レストランの中へ。いよいよそこからは戦場のような光景が繰り広げられる。

それぞれの部門に分かれた調理担当、サービスをするホール担当、お店の支配人などのレストランスタッフは、遅刻する者もいればルールを守らない者もいる。そして怒鳴り合いやののしり合いの中、それでも仕事は進んでいく。

お客さんの方もいろいろだ。あからさまな差別主義者に、自分勝手なインフルエンサー、ライバルシェフに著名な料理評論家、アレルギー体質のお客さん。でもレストランはお客様第一で進んでいく。

さらに保健所の監視員というイレギュラーな対応まで盛り込んであり、これをノーカットでやるのだから緻密に計算されつくした撮影計画なんだろう。見事である。

映画はこれでもかというほどの問題を次々と出していき、アンディーをどんどん追い詰めていく。話の方もスリリングで緊張感は倍加される。

まさに「映画館で観ないなんてもったいない」映画である。面白さ太鼓判!

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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