岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品三姉妹 B! トラウマと闘う逞しき姉妹の物語 2022年08月09日 三姉妹 ©2020 Studio Up. All rights reserved. 【出演】ムン・ソリ、キム・ソニョン、チャン・ユンジュ 【監督・脚本】イ・スンウォン ばらばらで疎ましくても愛おしい不思議な血の関係性 韓国ソウルに住む三姉妹は、それぞれが問題を抱えている。 長女のヒスク(キム・ソニョン)は花屋を営んでいるが、元夫の借金を返済しながらの経営は、上手くいっているとはいえない。娘との関係もぎくしゃくしていて、平気なふりをする母親の素振りにイライラを募らせる娘がいる。 高級マンションに暮らす次女のミヨン(ムン・ソリ)は、敬虔な教会の信者で、熱心に聖歌隊の指導指揮をしている。教師の夫とも周囲からは羨ましいく思われるほどの理想の夫婦だったが、ある日、夫の素行に違和感を感じる。 劇作家の三女ミオク(チャン・ユンジュ)は、子持ちのパートナーと暮らしているが、スランプに陥り酒に溺れ、周りに当たり散らす自暴自棄な暮らしをしている。酔った勢いで姉に電話するが、適当にあしらわれて気分は一向に晴れない。 『三姉妹』はそんな姉妹の生活を描いていく。3人は、例えるなら、形こそ違っても、地雷のある道を歩いているように見える。 長女ヒスクは、用心深い性格に見えるが、それは優柔不断なだけで、時には他人が踏んでしまった地雷が開けた穴に巻き込まれる。それに贖う気力もなく、悪循環の泥沼の穴は続く。 三女のミオクは、分別を無くすほどには酔えないだけで本性は素面のまま。自ら他人の感情を刺激するように地雷を踏み込むのは、孤独を嫌う寂しがり屋の性分とトラウマのせい。 次女ミヨンは完璧主義故に、進路を遮る障害物を排除するため、自ら地雷を踏む。執拗で容赦ない攻撃性には恐怖すら感じる。 そして、三姉妹が父親の誕生日の祝宴のため、久しぶりに実家に集うことになり…。ここで爆発する時限爆弾のような感情の破裂は凄まじいのひと言。韓国映画に登場する家族のかたちは、日本人の理解を越えることがある。幼い頃からのトラウマが関係していると説明されても、爆発に怯んだ後では、なんだかしらじらしく、希望を暗示する優しげな結末も、素直に信用して良いものか?戸惑う。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (9)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2023年12月08日 / 『インファナル・アフェア 4K』3部作 香港ノアールの代表作がスクリーンで甦る 2023年12月08日 / 『インファナル・アフェア 4K』3部作 4Kで蘇った、香港製フィルムノワールの傑作 2023年12月08日 / 映画(窒息) セリフは一切なくモノクローム、これぞ作家の映画だ more 2019年03月27日 / シネマノヴェチェント(神奈川県) 埋もれた映画に愛の手を…商店街の中のこだわり名画座 2022年08月24日 / 元町映画館(兵庫県) 淀川長治が育った映画の街に再び映画の灯が甦った。 2018年06月20日 / CINEMA e-ra(静岡県) 映画を文化として守りたい…という民意に支えられて more
ばらばらで疎ましくても愛おしい不思議な血の関係性
韓国ソウルに住む三姉妹は、それぞれが問題を抱えている。
長女のヒスク(キム・ソニョン)は花屋を営んでいるが、元夫の借金を返済しながらの経営は、上手くいっているとはいえない。娘との関係もぎくしゃくしていて、平気なふりをする母親の素振りにイライラを募らせる娘がいる。
高級マンションに暮らす次女のミヨン(ムン・ソリ)は、敬虔な教会の信者で、熱心に聖歌隊の指導指揮をしている。教師の夫とも周囲からは羨ましいく思われるほどの理想の夫婦だったが、ある日、夫の素行に違和感を感じる。
劇作家の三女ミオク(チャン・ユンジュ)は、子持ちのパートナーと暮らしているが、スランプに陥り酒に溺れ、周りに当たり散らす自暴自棄な暮らしをしている。酔った勢いで姉に電話するが、適当にあしらわれて気分は一向に晴れない。
『三姉妹』はそんな姉妹の生活を描いていく。3人は、例えるなら、形こそ違っても、地雷のある道を歩いているように見える。
長女ヒスクは、用心深い性格に見えるが、それは優柔不断なだけで、時には他人が踏んでしまった地雷が開けた穴に巻き込まれる。それに贖う気力もなく、悪循環の泥沼の穴は続く。
三女のミオクは、分別を無くすほどには酔えないだけで本性は素面のまま。自ら他人の感情を刺激するように地雷を踏み込むのは、孤独を嫌う寂しがり屋の性分とトラウマのせい。
次女ミヨンは完璧主義故に、進路を遮る障害物を排除するため、自ら地雷を踏む。執拗で容赦ない攻撃性には恐怖すら感じる。
そして、三姉妹が父親の誕生日の祝宴のため、久しぶりに実家に集うことになり…。ここで爆発する時限爆弾のような感情の破裂は凄まじいのひと言。韓国映画に登場する家族のかたちは、日本人の理解を越えることがある。幼い頃からのトラウマが関係していると説明されても、爆発に怯んだ後では、なんだかしらじらしく、希望を暗示する優しげな結末も、素直に信用して良いものか?戸惑う。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。