岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

訳あり中年男女の恋を描いた微笑ましい佳作

2022年06月27日

ツユクサ

©2022「ツユクサ」製作委員会

【出演】小林聡美、平岩紙、斎藤汰鷹、江口のりこ、桃月庵白酒、水間ロン、鈴木聖奈、瀧川鯉昇、渋川清彦、泉谷しげる、ベンガル、松重豊
【監督】平山秀幸

ユーモアとペーソスの匙加減も絶妙

平山秀幸監督の「ツユクサ」は、訳ありの中年男女の恋を描いた微笑ましい佳作。

小さな港町に暮らす五十嵐芙美(小林聡美)は、アルコール依存症から抜け出すため断酒の会に参加しているが、そこに至る過程は後半まで明かされない。

職場の同僚には、櫛本直子(平岩紙)や菊池妙子(江口のりこ)がいて、3人の姦しい会話が楽しい。

直子の子・航平とは仲良しで、よく遊びに出かける。平山監督は、「学校の怪談」シリーズを撮っていたので、子役の扱いがうまい。

そして、彼女は町に越してきた篠田吾郎(松重豊)と出会い意気投合するが、ふたりはそれぞれに悲しい過去を背負っていた。果たして過去の呪縛から逃れて、ふたりは結ばれるのかというお話。

ストーリー自体はシンプルで目新しさはないが、ディテールが豊かで味わい深い作品。

平山監督は、実力派の俳優たちから、見事なアンサンブル演技を引き出し、ユーモアとペーソスの匙加減も絶妙。

ふたりの落語家(桃月庵白酒と瀧川鯉昇)が出演しているのは、落語好きの平山監督らしい。

語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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