岐阜新聞 映画部

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叔父さんと甥、縦でも横でもなく斜めの関係性を描いた映画

2022年06月20日

カモン カモン

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【出演】ホアキン・フェニックス、ウディ・ノーマン、ギャビー・ホフマン、モリー・ウェブスター、ジャブーキー・ヤング=ホワイト
【監督】マイク・ミルズ

ストレートでフラット、対等の目線なのが素晴らしい

私には娘と息子の2人の子どもがいる。2人とも成人しており、仕事の関係上実家からは離れて暮らしている。本作の共演関係である、ラジオジャーナリストのジョニー(ホアキン・フェニックス)と9歳の甥・ジェシー(ウディ・ノーマン)との共同生活を見ていたら、私と息子そして私と甥との関係性を想起させられてたまらなかった。

野球少年だった息子は、野球の監督や元高校球児の叔父さんの言うことは素直に聞くが、お父さんには反発する。逆に私の甥は、彼のお父さんには反発するが私とは良好な関係だ。

本作は、この近すぎもせず赤の他人でもなく3親等くらいの関係性を巧みに描いていて、息子につい気を使ってしまう優しきお父さんには参考になる事しきりだ。

ジョニーはラジオ番組のために子どもたちに様々な質問をしていく。すべて俳優でない一般の子どもたちにストレートに聞いていてこの部分はドキュメンタリーそのものだ。彼らは大人の顔色をうかがうことなく素直に思ったことを喋る。思いもよらない感動的な言葉もあれば子どもっぽい幼稚な答えもある。

ジョニーが甥のジェシーとどう接しているのか?彼はラジオの子どもたちへのインタビューと同じく、対等の目線で接しているのだ。決して上から目線でなく真摯に耳を傾ける。マイクを突き出すという行為は、あなただけの話を聞きますということなのだ。

ジェシーはずっと喋り続ける。賢さは感じるが友達はいないだろう。彼はおそらくアスペルガー症候群で世間的には「めんどくさいオタク」だろうが、ジョニーは時々いらだちを感じながらもジェシーとはストレートでフラットな関係を維持している。

モノクロームの画面は、余分な情報で気が散ることなくお話に専念できる。

叔父と甥、この縦でも横でもなく斜めの関係性。私が大好きな「男はつらいよ」の寅さんと満男の関係性を彷彿とさせる。素晴らしい映画、参考にさせていただきます。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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