岐阜新聞 映画部

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アニメクリエーターの情熱と苦悩を描く快作

2022年06月09日

ハケンアニメ!

©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会

【出演】吉岡里帆、中村倫也、工藤阿須加、小野花梨、高野麻里佳、六角精児、柄本佑、尾野真千子
【監督】吉野耕平

多くの人の胸に刺さるお仕事群像劇

「ハケンアニメ!」は、直木賞作家・辻村深月の人気小説の映画化で、新人監督とブランクから復帰した天才監督とのテレビアニメの覇権争いを描いた、元気がもらえるエンタテインメントの快作。

クリエーターの情熱と苦悩を描いている点では、昨年の「映画大好きポンポさん」に似ている。実写映画の製作過程を描いたアニメと、アニメの製作過程を描いた劇映画の違いはあるが、両作品とも監督とプロデューサーの関係を軸にした成長譚で、創作の喜びと苦しみに共鳴し一喜一憂すること必至。さらに「ハケンアニメ!」は、ディテールがよりリアルかつ豊かで、脇の登場人物までよく描けている。まさに、多くの人の胸に刺さるお仕事群像劇である。

ヒロインの、全身全霊でアニメ製作に打ち込む新人監督を演じる吉岡里帆の熱さが素敵だ。彼女の憧れの存在であり目標でもある、天才監督役の中村倫也の捉えどころのないキャラもぴったり。そして、両監督のアニメのプロデューサー役の、柄本佑と尾野真千子が映画に深みを与えている。

劇中に登場する2作品のアニメも、断片的だがとても魅力的だったので、覇権争いにも説得力があった。

吉野耕平監督は、監督デビュー作「水曜日が消えた」も面白かったが、この「ハケンアニメ!」で一気に期待の映画監督のひとりとなった。

語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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語り手:井上 章

映画鑑賞歴44年。出来る限り映画館で観ることをモットーとし、日本映画も外国映画も、新作も旧作も、ジャンルを問わず観てきたおかげか、2006年に、最初の映画検定1級の試験に最高点で合格しました。

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