岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

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ネオレアリズモの代表的監督が撮った、今でも通じる反戦映画

2022年05月30日

ひまわり 50周年HDレストア版

© 1970 – COMPAGNIA CINEMATOGRAFICA CHAMPION(IT) – FILMS CONCORDIA(FR) – SURF FILM SRL, ALL RIGHTS RESERVED.

【出演】ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、リュドミラ・サベーリエワ
【監督】ヴィットリオ・デ・シーカ

ひまわり畑の下には、無数の犠牲者が埋まっている

ヘンリー・マンシーニの哀愁を帯びた音楽が美しい戦争による悲劇。『ひまわり』を20代前半に名画座で観たときは、身勝手で大げさな大メロドラマだと決め付けてバカにしていた。内心では感動していたが、その良さを認めてみんなに言うのは気恥ずかしかった。

ウクライナ情勢の中で緊急公開された本作を、40数年ぶりに劇場で観たが素直に感動した。強引な展開は当時と同じ印象だが、反戦映画としては今でも通じるいささかも古びてないテーマだからだ。

監督のヴィットリオ・デ・シーカは、第二次大戦後にイタリアで盛んになったネオレアリズモ(現実の問題を主題にして素人に演技をさせる手法)の代表的監督で、『靴みがき』(1946)や『自転車泥棒』(1948)という映画史に残る傑作を作っている。

一方で職人監督としても有能であり、本作と同じソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが共演する、結婚や妊娠をテーマにした風刺コメディ『昨日・今日・明日』(1963)や『ああ結婚』(1964)なんかも楽しい。

『ひまわり』(1970)はローレンとマストロヤンニのドタバタカップルを、ネオレアリズモを彷彿とさせる厳しい現実の世界に放り込んだ映画だ。デ・シーカ監督のリアリズムと職人技が上手く融合している。

製作に加わっているカルロ・ポンティはソフィア・ローレンの夫。イタリアの大プロデューサーで不倫の末ローレンと結婚している。映画のラストで登場する主人公ジョバンナの赤ん坊は、ローレンとポンティとの実の子どもだというのは最近知った。

今回気が付いた印象的なセリフがある。ウクライナのひまわり畑を訪れたジョバンナに「ひまわり畑の下には、無数のイタリア兵やロシアの捕虜、農民が埋まっている」という説明。「農民」はおそらくスターリンによるウクライナの人工的飢饉で死亡した数百万人のことだろう。

見直してなお良くなる映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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