岐阜新聞 映画部

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一匹の野良猫を助けたことで運が開けた奇跡を描く映画

2022年05月12日

ボブという名の猫2 幸せのギフト

© 2020 A Gift From Bob Production Ltd. All Rights Reserved.

【出演】ルーク・トレッダウェイ、クリスティーナ・トンテリ=ヤング、ファルダット・シャーマ、アンナ・ウィルソン=ジョーンズ
【監督】チャールズ・マーティン・スミス

茶トラの雄猫ボブを演ずる?のは"himself"

映画のオープニング、原題タイトル"A Gift from Bob"と一緒に出てくる"based on a true story"の文字列。日本映画にはあまり見かけないが、外国映画の実話モノにはほぼ必ず出てくる「実話に基づいた物語」という文言だ。都合よく作られた嘘っぽい話でも「これは真実です」と有無を言わせない魔法の言葉であり私はあまり好きではない。

本作は人生が中々上手くいかなかったストリートミュージシャンでホームレスだったジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)が、一匹の野良猫を助けたことで運が開けベストセラー作家になったという奇跡を描いた映画である。

クリスマス映画には、生きてさえいれば幸せが訪れるという名作『素晴らしき哉、人生!』をはじめ、家族が一緒に楽しめるヒューマンドラマが多いが、本作もその線をねらっていることは確かだ。

主役の茶トラの雄猫ボブを演ずる?のは"himself"、つまり実際のボブそのものがやっている。カレ?は2020年に推定14歳で亡くなっているが、感動させられる要素は十二分に出揃っているのである。

ボブを肩の上に乗せ路上で演奏しているジェームズ。その様子が注目を浴びたというのが成功の発端だが、映画で見る限り恐る恐る乗せている感じで何かよそよそしい。ネットで見た実話の主のジェイムズ・ボウエンさんと肩に乗る相棒のボブとの写真は、どっしりしており違和感は全くない。私は「まあ仕方がない」と思って観ていたが、いってみれば肝心なところに若干の問題がある。

ジェームズを取り巻く周囲の人々がみんな善人で、敵は動物福祉局の融通の利かない職員のみというのも何だかなあという感じだが、「実際そうだった」と言われてしまうと、「はあ、そうですか」と引き下がるほかない。

映画はニャンともいえない白々しさを抱えてはいるが悪くはない。猫好きな私にはうらやましい映画である。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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