岐阜新聞 映画部

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飛行機事故に絡むフレンチサスペンススリラー

2022年03月29日

ブラックボックス:音声分析捜査

© 2020 / WY Productions - 24 25 FILMS - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINEMA - PANACHE Productions

【出演】ピエール・ニネ ルー・ドゥ・ラージュ アンドレ・デュソリエ
【監督・脚本】ヤン・ゴズラン

天才肌の調査官の独断が過信が揺らぐ瞬間

航空機事故が発生した時、その報道などでよく耳にするのは、"フライトレコーダー" と "ボイスレコーダー" の事故現場からの回収についての言及だったりする。フライトレコーダーは飛行データのこと、ボイスレコーダーは操縦室での会話と音声の記録=データの事で、いずれも事故原因究明のための資料となる。それが航空機に搭載されている。当然、事故を前提としているわけだから、相応の衝撃にも耐え得る構造が求められる。

フランス航空機事故調査局のとある一室。モニターには小型機の墜落事故の映像。調査官のマチュー(ピエール・ニネ)とその上司ポロックが対峙している。意見の食い違いがあり、2人の間に緊張感が漂う。

そこに、ヨーロピアン航空の最新型旅客機がアルプス山中に墜落したとの報が入る。喧騒に包まれる調査局。しかし、現地調査へ行くメンバーからマチューは外されてしまう。

『ブラックボックス 音声分析捜査』は、航空機事故の音声分析官マチューを主人公にしたサスペンス映画である。

事故現場から回収された、フライトレコーダーとボイスレコーダーが搭載された "ブラックボックス"'の開封作業が映し出される。その作業をするのは担当責任者であるポロック。証拠となるデータは慎重に扱われる。取り出された音声データからは、ある違和感が浮かび上がる。しかしこれはメンバーから外れたマチューの仕事ではない。

航空機の認可に関わる役所に勤めるマチューの妻ノミエ(ルー・ドゥ・ラージュ)、自動操縦システム会社の友人、航空機メーカーといったいくつもの利害が絡み合う展開は複雑で、ミステリの面白みに満ちている。

マチューの自らの耳を重要視するやり方も、その出発点は勘に近い。その後の検証は、ノイズを除去したりトーンを変えるなどハイテクを屈指していく。

突然、姿を消したポロックを鍵に、一気に真相に迫る展開は、バーナード・ハーマン風の音楽を使った演出で、ヒッチコック映画のサスペンススリラーの凄みがある。ラストは些かやり過ぎ感があるが、けじめのつけ方としては爽快で支持したい。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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