岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品クレッシェンド 音楽の架け橋 B! 紛争の地に平和を希求する音楽映画 2022年03月22日 クレッシェンド 音楽の架け橋 © CCC Filmkunst GmbH 【出演】ペーター・シモニシェック、ダニエル・ドンスコイ、サブリナ・アマーリ 【監督】ドロール・ザハヴィ モデルはバレンボイムとサイードによる実在のオーケストラ ユダヤ人によるイスラエル国の独立宣言が行われたのは、1948年5月14日のことで、イスラエルとパレスチナの紛争はその時から始まった…というのは、ほんの近代のことで、その根は深く、はるか昔、古代からの歴史に遡らなければ、本当の輪郭は見えてこない…ので、近代史に戻り、現在のイスラエル国という地域は、イギリスによる任意統治領だった。おもに北をヨルダン、及び、ゴラン高原を挟み、シリアと、東をヨルダン、南西をエジプトと国境を接し、西側には地中海が広がっている。その地域に住んでいたパレスチナの人は800万人で、イスラエルの建国により分割されるわけだが、それは緩やかな入植とは程遠い軍事力によるもので、いくつかの戦争=紛争を経て、現在は60%以上をイスラエルが支配している。首都はエルサレムとイスラエルは主張しているが、国際的な承認は受けられず、事実上の首都機能はテルアビブにある。 パレスチナと言えば、アラファト議長の個性的な風貌や、ゲリラといった危ないイメージの時代があったか、現在は随分、穏やかに見えはするが…。 『クレッシェンド 音楽の架け橋』は、イスラエルとパレスチナを舞台に始まる。 パレスチナ人のレイラ(サブリナ・アマーリ)は、バイオリンで音楽家として身を建てたいと考えている。封建的な周囲に反発し反対を押し切り、あるオーディションに挑戦するため、イスラエルの検問所を通る。ここでの兵士とのやり取りは、緊張状態の縮図に見える。レイラは怒りを抑え、幼なじみのオマル(メフディ・メスカル)を連れてイスラエル側に入る。 世界的な指揮者スポルク(ペーター・シモニシェック)は、パレスチナとイスラエルの若者によるオーケストラで平和コンサートを開く企画を引き受け、メンバー選出のオーディションを指導する。しかし、にわか編成の楽団員たちのピリピリした対立の構図は容易に埋まるものではなく、スポルクは苦悩し、合宿先を南チロルにすることで打開しようとする。 問題の提起、対話、そして感情をぶつけ合う罵り合いには感動すら感じるが、終盤のメロドラマ的な展開が、音楽が導く希望への熱を冷ますのが残念。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (8)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年07月23日 / 青春18×2 君へと続く道 切なさ溢れる抒情的恋愛映画の秀作 2024年07月22日 / 青春18×2 君へと続く道 ピュアな恋を描いた大人のラブストーリー 2024年07月22日 / 青春18×2 君へと続く道 初恋の思いを辿る台湾=日本合作恋愛映画 more 2018年12月26日 / 高崎電気館(群馬県) 閉館された映画館にふたたび灯がともる時 2019年03月13日 / 彦根ビバシティシネマ(滋賀県) 映画で街を発展させたい!地元の人たちと共に歩む映画館 2021年04月28日 / Denkikan(熊本県) 九州で初めて活動写真の灯をともした老舗映画館 more
モデルはバレンボイムとサイードによる実在のオーケストラ
ユダヤ人によるイスラエル国の独立宣言が行われたのは、1948年5月14日のことで、イスラエルとパレスチナの紛争はその時から始まった…というのは、ほんの近代のことで、その根は深く、はるか昔、古代からの歴史に遡らなければ、本当の輪郭は見えてこない…ので、近代史に戻り、現在のイスラエル国という地域は、イギリスによる任意統治領だった。おもに北をヨルダン、及び、ゴラン高原を挟み、シリアと、東をヨルダン、南西をエジプトと国境を接し、西側には地中海が広がっている。その地域に住んでいたパレスチナの人は800万人で、イスラエルの建国により分割されるわけだが、それは緩やかな入植とは程遠い軍事力によるもので、いくつかの戦争=紛争を経て、現在は60%以上をイスラエルが支配している。首都はエルサレムとイスラエルは主張しているが、国際的な承認は受けられず、事実上の首都機能はテルアビブにある。
パレスチナと言えば、アラファト議長の個性的な風貌や、ゲリラといった危ないイメージの時代があったか、現在は随分、穏やかに見えはするが…。
『クレッシェンド 音楽の架け橋』は、イスラエルとパレスチナを舞台に始まる。
パレスチナ人のレイラ(サブリナ・アマーリ)は、バイオリンで音楽家として身を建てたいと考えている。封建的な周囲に反発し反対を押し切り、あるオーディションに挑戦するため、イスラエルの検問所を通る。ここでの兵士とのやり取りは、緊張状態の縮図に見える。レイラは怒りを抑え、幼なじみのオマル(メフディ・メスカル)を連れてイスラエル側に入る。
世界的な指揮者スポルク(ペーター・シモニシェック)は、パレスチナとイスラエルの若者によるオーケストラで平和コンサートを開く企画を引き受け、メンバー選出のオーディションを指導する。しかし、にわか編成の楽団員たちのピリピリした対立の構図は容易に埋まるものではなく、スポルクは苦悩し、合宿先を南チロルにすることで打開しようとする。
問題の提起、対話、そして感情をぶつけ合う罵り合いには感動すら感じるが、終盤のメロドラマ的な展開が、音楽が導く希望への熱を冷ますのが残念。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。