岐阜新聞 映画部

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世界的テニスプレーヤーの父を描いた、一流にするための方法論

2022年03月01日

ドリームプラン

©2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved 

【出演】ウィル・スミス、アーンジャニュー・エリス、サナイヤ・シドニー、デミ・シングルトン、トニー・ゴールドウィン、ジョン・バーンサル
【監督】レイナルド・マーカス・グリーン

良き父親である反面、社会性に欠けた困った毒親

私はテニスにはとんと疎いが、大坂なおみ選手の父親レオナルドさんが娘にテニスを教えようと決めたのは、ビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹の父親リチャードの著書に刺激を受けたかららしい。それに倣いトレーニングの計画を立て、フロリダに引っ越しまでした。

大坂選手にとってのアイドルはセリーナで「彼女がいたからテニスを始めた」と言わせるほどの憧れかつ、背中を追いかける存在であったようだ。

現在ビーナス41歳、セリーナ40歳でバリバリの現役。

この2人が製作総指揮に加わり、「娘を成功に導いた父親を描いた実話」となれば鼻白む美談となりかねないが、ギリギリそうはならなかった。良き父親である反面、社会性に欠けた困った毒親であった部分も描けているからだ。

というか邦題『ドリームプラン』はミスリード気味の題名であり、原題『King Richard』の方がしっくりくるし、映画の内容にあっているのだ。

彼のような自分勝手で押し付けがましい親は、子どもにとっては迷惑甚だしい。たまたま娘2人が運動神経が抜群で従順な性格であっただけで、恐らく8割方はうまくいかないだろう。生まれる前から人生が決められているなんて親の横暴以外何者でもない。

この映画は、こういった点は上手く描けている。近所から虐待だと通報されても仕方ないのだ。

一方で世界的プレーヤーにするための方法論は、至極真っ当である。

ジュニアから活躍したため、周囲からは「早く実戦に慣れ、稼げるときに稼げ」と言われる中で、リチャード(ウィル・スミス)は「この時期に大切なものは勝ち星ではなく、質を高めること」という方針のもと、プロデビューまでは公式戦は一切戦わせなかった。テニスコートでは何も無理強いされなかったのだ。

そして「必ず世界一になる」と言い続けたポジティブシンキング。

反面教師であると共に、大いに参考になる映画でもある。

語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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語り手:ドラゴン美多

中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。

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