岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品Pure Japanese B! 昭和テイストの漂う「Old Japanese」映画 2022年02月21日 Pure Japanese ©2021「Pure Japanese」製作委員会 【出演】ディーン・フジオカ、蒔田彩珠/渡辺哲、金子大地、黒岩司、大北晋平、鷲津秀人、二ノ宮隆太郎、水間ロン、呉城久美、高野春樹、ボブ鈴木、鈴木孝之、坂口征夫、村上淳、 嶋田久作、別所哲也 【監督】松永大司 アナクロニズム感は半端ないが、アクションシーンは迫力がある 『Pure Japanese(純粋日本人)』という挑戦的なタイトルからして、苦手なタイプの映画かもと思いながら観た。 法律でいう「日本人」という定義は国籍法によって決まっており、日本は血統主義(親と同じ国籍)であるが、アメリカやカナダなどは出生地主義(出生した国の国籍)である。 しかしこれはあくまでも国籍のことであって、この映画のタイトルからは「純血日本人」とか「大和民族」など、排外的なレイシズム(優等人種が劣等人種を支配する)の匂いが漂ってきていた。偏った愛国主義やヘイトスピーチの内容であったら辛いなと思ってみていたが、そうではなかった。 その答えは台湾・香港・アメリカで活躍し、その後日本でデビューした「逆輸入俳優」ディーン・フジオカさんが感じた「日本人とは何か?」を基に企画したアクション映画であり、昭和テイストの漂う「Old Japanese」映画であった。 日光江戸村の忍者ショーの効果音係として働く立石(フジオカ)は、暇さえあれば近くの神社で黙々と身体を鍛えている。ストイックに上半身裸で殺陣の稽古をしているが、アナクロニズム感は半端なくギャグとしか思えない。 日本人度を計る試薬(PJキット)はおもちゃ程度だが、ヤクザの佐伯(二ノ宮隆太郎)の数値が50%なんて変に意味深すぎる。で最初拒否していた立石が密かに計ると100%。何が言いたいのか私にはよくわからない。 そこからは「日本人とは何か?」というお題はどこへやら。 立石は次第に狂気を帯びていき、敵を倒すという名目の殺人鬼となってしまう。光によってフラッシュバックする設定も安易だが、土地を買い占める中国人との闘いなど、昭和の時代の日活アクションか東映ヤクザ映画だ。それも2本立ての添え物の方。全体に思いつきのレベルで、一貫性のない映画である。 ただしアクションシーンは迫力があり、一見の価値はある。 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 100% 観たい! (38)検討する (0) 語り手:ドラゴン美多中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。 2024年09月13日 / 幻の光 デビュー作から並みの監督でないことはよくわかる 2024年09月12日 / 密輸 1970 勝つのは誰だ?四つ巴のクライム・アクションムービー 2024年09月10日 / 幸せのイタリアーノ 嘘つきシニョーレと車椅子セニョリータの大人のラブストーリー more 2019年06月19日 / 一関シネプラザ(岩手県) 武家屋敷と蔵のある城下町で戦後から続く街の映画館 2022年01月26日 / シネマ・クレール(岡山県) 目の前を路面電車が通過する城下町の映画館 2018年02月21日 / 八丁座(広島県) 入場する前から心がワクワクする…映画館が楽しい more
アナクロニズム感は半端ないが、アクションシーンは迫力がある
『Pure Japanese(純粋日本人)』という挑戦的なタイトルからして、苦手なタイプの映画かもと思いながら観た。
法律でいう「日本人」という定義は国籍法によって決まっており、日本は血統主義(親と同じ国籍)であるが、アメリカやカナダなどは出生地主義(出生した国の国籍)である。
しかしこれはあくまでも国籍のことであって、この映画のタイトルからは「純血日本人」とか「大和民族」など、排外的なレイシズム(優等人種が劣等人種を支配する)の匂いが漂ってきていた。偏った愛国主義やヘイトスピーチの内容であったら辛いなと思ってみていたが、そうではなかった。
その答えは台湾・香港・アメリカで活躍し、その後日本でデビューした「逆輸入俳優」ディーン・フジオカさんが感じた「日本人とは何か?」を基に企画したアクション映画であり、昭和テイストの漂う「Old Japanese」映画であった。
日光江戸村の忍者ショーの効果音係として働く立石(フジオカ)は、暇さえあれば近くの神社で黙々と身体を鍛えている。ストイックに上半身裸で殺陣の稽古をしているが、アナクロニズム感は半端なくギャグとしか思えない。
日本人度を計る試薬(PJキット)はおもちゃ程度だが、ヤクザの佐伯(二ノ宮隆太郎)の数値が50%なんて変に意味深すぎる。で最初拒否していた立石が密かに計ると100%。何が言いたいのか私にはよくわからない。
そこからは「日本人とは何か?」というお題はどこへやら。
立石は次第に狂気を帯びていき、敵を倒すという名目の殺人鬼となってしまう。光によってフラッシュバックする設定も安易だが、土地を買い占める中国人との闘いなど、昭和の時代の日活アクションか東映ヤクザ映画だ。それも2本立ての添え物の方。全体に思いつきのレベルで、一貫性のない映画である。
ただしアクションシーンは迫力があり、一見の価値はある。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白さから映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。
語り手:ドラゴン美多
中学三年の時に見た「日本沈没」「燃えよドラゴン」のあまりの面白から映画の虜になって四十数年、今も映画から夢と希望と勇気をもらっている、ファッションチェックに忙しい中年のおっさんです。