岐阜新聞 映画部

いま、どこかで出会える作品たち

Meet somewhere

民主主義の模範が見えるドキュメンタリーの傑作

2022年01月25日

ボストン市庁舎

© 2020 Puritan Films, LLC – All Rights Reserved

【監督・製作・編集・録音】フレデリック・ワイズマン

対話から生まれる真の議論と住民目線の行政のありよう

日本には政令指定都市という制度がある。人工50万人以上の大都市を対象に、総合的な行政運営を行えるように制定された。

また、人口が20万人以上を対象に、政令指定都市に準じる特例市というのがつくられたが、これが現在は中核都市という名称に変わった。私の住んでいる市はこの中核都市なのだが、住民には何のことだかよくわからない。事務手続上の権限が認められたもの、らしいが、これが住民に実感として伝わることはないのだろう…。

市役所には年に数回は出向くことがある。その時、感じるのは職員の緊張感である。これは幾分下衆の勘ぐりかもしれないのだが、以前、市役所に勤める知り合いから、来庁者とのトラブルの話を聞いたことがある。突然、大声をあげ怒りだす来庁者は少なからずいるというから、慎重な対応は必須となる。必要以上の緊張感はそこから生じるのだろうか?

役所の仕事とは? と考えさせられたりするのは、そんな時である。

『ボストン市庁舎』は、アメリカ・マサチューセッツ州・ボストンの市庁舎=市役所に取材したドキュメンタリーである。

CINEXでも上映されたフレデリック・ワイズマン監督の『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』(2017/日本公開2019年)は、図書館という施設に密着し、ほとんとカメラは外には出ていないが、本作ではフットワークは軽い。

2018年秋、撮影は始まった。市政府の活動に寄り添い、市長マーティン・ウォルシュにも密着する。

1743年から会議場などとして使用されている歴史的建造物ファニエル・ホールで行われた退役軍人との対話の様子。続いて、障害者やホームレスの援助を行う非営利団体のグッドウィル・インダストリーズの感謝祭。そしてシンフォニー・ホールでの市政報告会。市民に寄り添う誠実な政治家が浮かび上がる。

市の職員たちも困窮者を助ける。立ち退きのない区間整理、移民、マイノリティへの経済支援…ここで交わされる様々な対話はまさしく民主主義のあるべき姿に他ならない。その模範からずれるトランプ政権への批判も手厳しい。

語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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語り手:覗き見猫

映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。

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