深山は松潤の当たり役 2階の棲家を覗いてみたい

テレビドラマシリーズの「99.9 -刑事専門弁護士-」は、2016年4~6月期に始まり、2018年にはセカンドシーズンが放映された。

斑目法律事務所は企業顧問などの民事を中心に実績を上げている。所長である斑目春彦(岸部一徳)は、刑事専門の部署の立上げを決め、事務所の稼ぎ頭である佐田(香山照之)を責任者に抜擢するのだが、収益が期待できない刑事裁判への参入に納得できない佐田は、常に苛立っている。そして部署に集まってくるメンバーは "超"のつく個性派揃い。その中心にいるのが松本潤演じる深山大翔である。そのマイペースぶりは佐田の怒りの炎に度々油を注ぐことになる。

日本の刑事事件裁判では起訴された案件は99.9％が有罪となる。深山(みやま)は、「僕が知りたいのは事実だけ」という信念のもと、陰に埋もれ見過ごされた真実=冤罪を暴いていく。

ドラマはミステリーとしてもよく練られた展開で、個性派メンバーたちのやり取りに定番化したギャグを散りばめるなど、緩急自在の構成で楽しい人気シリーズとなった。

今回の "THE MOVIE" は満を持しての映画化である。個々に多少の配置換えはあるものの、主要メンバーは顔を揃えている。

冒頭、深山が担当するのは、酪農家の殺人事件。その目撃証言の裏を取るため熊本へと遠征する。テレビシリーズ同様、深山とバディを組むのは女性弁護士で、本作では高野穂乃果(杉咲花)が、3代目に就任している。

実は、映画公開の前日に放映されたスペシャルドラマで深山と穂乃果は既に出会っており、映画版の事件は3件目で、息のあったコンビぶり(？)はそのことによる。

そして、メインとなる15年前に起きた "天華村毒物ワイン事件" に挑む。

映画が初見という方は、多少の置いてけぼり感と、変な間の空気感に戸惑うかも知れない…でも、演出はテレビ版よりおとなしめなんですが…。物語は伏線の回収も上手くまとめられ、ちょっと涙を誘う、安心安定の完成度である。