岐阜新聞映画部映画館で見つけた作品老後の資金がありません! B! 高齢化社会を生き抜くための応援歌 2022年01月05日 老後の資金がありません! ⓒ2021映画「老後の資金がありません!」製作委員会 【出演】天海祐希、松重豊/新川優愛、瀬戸利樹、加藤諒、柴田理恵、石井正則、若村麻由美、友近、クリス松村、高橋メアリージュン、佐々木健介、北斗晶 、荻原博子(経済ジャーナリスト)、竜雷太、藤田弓子、哀川翔、毒蝮三太夫、三谷幸喜、草笛光子 【監督】前田哲 ドタバタやデフォメルを批判すれば野暮になる 父親危篤の知らせを受け、病院に駆けつける家族。悲嘆に暮れるその裏側では、父亡き後の葬儀の段取りが囁かれ相談される。そこで問題になるのは "お金のはなし" …「ここですることか!」と突っ込みたくなるが、現実的には避けては通れない、生々しいはなし。 『老後の資金がありません!』は、主婦・後藤篤子(天海祐希)が立ち向かわなければならなくなる、お金の問題を描いた映画である。 ーそして、父親は亡くなる。 葬儀社のテレビCMや広告では、明確な料金の開示とか、小さなお葬式などをうたっているものが目立つ。一方、心情系への転換も模索するしたたかな面を見せる業界なのである。 篤子は葬儀社の担当と対峙する。相場とか家の格とかを基準に持ち出されるが、そこに経験値は当てはらない。姑のひと言にも反くわけにもいかず、規模は拡大し、用意した葬儀は赤字となってしまう。 原作は垣谷美雨の同名小説(ビックリマークはなし)で、34万部を超えるベストセラーとなり、多くの読者の共感を獲得している。 「あなたの老後には○○円が必要となる」と、わけ知り顔の評論家に言われたら、そのとば口にいる者にとっては、個人差はあっても、身に迫る危機と実感してしまう。いや、これは共有すべき将来への展望なのかも知れない。錯覚かも知れないなどと軽率に言えるものでもない。 篤子には娘の結婚、夫の失職、姑との同居と、矢継ぎ早の危機が襲いかかる。 コメディとしてはドタバタ感は否めないが、時折、脇道にそれる展開、振り込み詐欺、結婚話につきものの家vs家の対立、兄弟間に勃発する認識の格差、親の年金に頼る子、男の友情のしこりなど、現実に則したこれらの問題も身につまされる。 映画は能天気に楽観主義と批判されそうな、ギリギリのラインでバランスを保つ。深刻に考えれば暗くなりかねない。ならばこれを応援歌に変えよう。それが喜劇の持ち味かも知れない。 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 100% 観たい! (7)検討する (0) 語り手:覗き見猫映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。 2024年09月06日 / 幸せのイタリアーノ 嘘からはじまるロマンチックコメディ 2024年09月06日 / 愛に乱暴 真面目に生きてきた女性が壊れる 2024年09月06日 / 愛に乱暴 人間の我慢の限界を描き、本質に迫った映画 more 2024年01月10日 / アップリンク吉祥寺(東京都) ファッションビルの地下にあるミニシアターの映画街。 2020年07月15日 / ユジク阿佐ヶ谷(東京都) ハリネズミのイラストが出迎えてくれる映画館 2018年12月12日 / シネマテークたかさき(群馬県) 観たい映画をかける映画館を地元に…一人の男が立ち上がった。 more
ドタバタやデフォメルを批判すれば野暮になる
父親危篤の知らせを受け、病院に駆けつける家族。悲嘆に暮れるその裏側では、父亡き後の葬儀の段取りが囁かれ相談される。そこで問題になるのは "お金のはなし" …「ここですることか!」と突っ込みたくなるが、現実的には避けては通れない、生々しいはなし。
『老後の資金がありません!』は、主婦・後藤篤子(天海祐希)が立ち向かわなければならなくなる、お金の問題を描いた映画である。
ーそして、父親は亡くなる。
葬儀社のテレビCMや広告では、明確な料金の開示とか、小さなお葬式などをうたっているものが目立つ。一方、心情系への転換も模索するしたたかな面を見せる業界なのである。
篤子は葬儀社の担当と対峙する。相場とか家の格とかを基準に持ち出されるが、そこに経験値は当てはらない。姑のひと言にも反くわけにもいかず、規模は拡大し、用意した葬儀は赤字となってしまう。
原作は垣谷美雨の同名小説(ビックリマークはなし)で、34万部を超えるベストセラーとなり、多くの読者の共感を獲得している。
「あなたの老後には○○円が必要となる」と、わけ知り顔の評論家に言われたら、そのとば口にいる者にとっては、個人差はあっても、身に迫る危機と実感してしまう。いや、これは共有すべき将来への展望なのかも知れない。錯覚かも知れないなどと軽率に言えるものでもない。
篤子には娘の結婚、夫の失職、姑との同居と、矢継ぎ早の危機が襲いかかる。
コメディとしてはドタバタ感は否めないが、時折、脇道にそれる展開、振り込み詐欺、結婚話につきものの家vs家の対立、兄弟間に勃発する認識の格差、親の年金に頼る子、男の友情のしこりなど、現実に則したこれらの問題も身につまされる。
映画は能天気に楽観主義と批判されそうな、ギリギリのラインでバランスを保つ。深刻に考えれば暗くなりかねない。ならばこれを応援歌に変えよう。それが喜劇の持ち味かも知れない。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。
語り手:覗き見猫
映画にはまって40数年。近頃、めっきり視力が衰えてきましたが、字幕を追う集中力はまだまだ大丈夫です。好きなジャンルは? 人間ドラマ…面白くない半端な回答…甘い青春映画も大好きです。